研究課題/領域番号 |
23K15398
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
北川 功幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (50866241)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 自己反応性T 細胞 / 膵島自己抗原 / 1型糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
1型糖尿病の一部は膵島β細胞が標的となる自己免疫疾患であり、自己免疫の主体は、膵島 β細胞の自己抗原を認識する膵島自己抗原反応性CD8陽性T細胞であると考えられている。 一方で、自己反応性T細胞は2型糖尿病においても存在し、1型糖尿病が発症・進展すること は自己反応性T細胞の量的な増加ではなく質的な異常に依存する可能性がある。 本研究は自己反応性T細胞を膵島自己抗原により活性化し、1細胞単位で質的異常を同定する。以て1型糖尿病の発症・進展を抑制する新規治療創出のための基盤データとする。
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研究実績の概要 |
1型糖尿病おける獲得免疫の質的異常を観察するために、本研究では、糖尿病コホートを用いた解析を進め、1型糖尿病におけるエフェクターT細胞のGAD65に対する免疫応答を試験管内で再現し、量的、質的に評価した。先行研究では、1型糖尿病の人々の末梢血単核球(PBMC)を用いて単一細胞解析を実施した。その結果、GAD反応性T細胞のTCR配列を同定し、1型糖尿病患者の血中T細胞の表現型には特徴があることが判明した (Okamura T, Kitagawa N et al. Cells 2022)。また、GAD65由来のペプチド断片プールに反応する自己反応性T細胞の解析も進めた。1型糖尿病患者由来末梢血T細胞をEx vivoで膵島自己抗原により刺激培養し、 IFNγ、CD8を染色するマルチカラーフローサイトメトリーにより、IFNγ産生CD8陽性T細胞を同定した。そしてGAD反応性CD8陽性T細胞のIFNγ産生の頻度を各糖尿病型(急性発症1A/1B型、緩徐進行1型、劇症1型, 2型)ごとに比較した結果、各病型間で有意差を認めなかった(P > 0.05)(2023年5月、第66回糖尿病学会総会で報告)。引き続いて、1型糖尿病の中でも、自己免疫学的機序の関連が大きいとられる緩徐進行1型糖尿病 (SPIDDM)に注目し、その病態基盤となりうるGAD反応性CD4陽性T細胞について解析を進めた。SPIDDM症例では、GAD65に反応する最終分化エフェクターCD4陽性T細胞分画比率の増加がみられる症例を認めた。そのGAD65反応性が症例ごとに異なる可能性が示唆された。今後、各症例での自己抗原へのT細胞の反応性の差異と糖尿病コホートで得られた患者背景因子との関係、HLA-DRのような遺伝子学的指標との関連、あるいは単一細胞解析結果との関連について明らかにすべく探索を継続していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病コホート研究を通じて採取保存済の1型糖尿病患者血球を用いて、膵島自己抗原のオーバーラップペプチドを用いた刺激培養試験を進めた。その研究結果について、2023年5月の第66回糖尿病学会総会で報告済であり、2023年度以降の研究結果についても、今後の学会での報告を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、1型糖尿病がある人での膵島自己抗原へのT細胞の反応性の違いを明らかにしていくための探索を継続する。各症例での膵島自己抗原へのT細胞の反応性の差異とKAMOGAWA-DMコホート研究を通じて得られた患者背景情報との関係、HLA-DRのような遺伝子学的情報との関連について検討する。また、単一細胞解析結果も交えて、自己反応性T細胞の質的異常の有無についての解析も進める。
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