研究課題/領域番号 |
23K15409
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
村田 幸一郎 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50967825)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | O-GlcNAc修飾 / 肝細胞 / グリコーゲン蓄積 / Phkg2遺伝子 / 糖代謝 / 肝臓 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病は高血糖を呈する代謝性疾患で、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性増大に起因する。糖尿病と蛋白の糖鎖修飾の関与が示唆され、細胞外蛋白への修飾だけでなく、核・細胞質蛋白への酵素学的な糖鎖修飾が注目されている。細胞内蛋白の糖鎖修飾はO-GlcNAc修飾と呼ばれUDP-GlcNAcを蛋白に修飾するO-GlcNAc転移酵素によって制御されるが、哺乳類での生理学的役割や糖代謝への関与は十分に解明されていない。本研究ではインスリン標的臓器であり糖代謝の中心的役割を担う肝臓におけるO-GlcNAc修飾と糖尿病との関わりを検討することで、O-GlcNAc修飾を標的とした新規糖尿病治療の可能性を探索する。
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研究実績の概要 |
【背景】O-GlcNAc修飾は翻訳後修飾の一つであり、肝臓では脂肪肝、アルコール性肝障害、肝細胞癌などとの関連が報告されているが、代謝調節における詳細な役割は不明である。 【目的】O-GlcNAc修飾の肝細胞における代謝調節や、病態との関連を調べる。 【方法】Cre-LoxPシステムを用いて、タモキシフェン誘導性肝細胞特異的Ogt-KOマウス(Ogt-LKO)を作製し、代謝に関する表現型を調べる。 【結果】Ogt-LKOにおいて、Ogt遺伝子、O-GlcNAc修飾タンパクの減少を確認した。またOgt-LKOではタモキシフェン投与後2週から肝腫大があり、4週から空腹時血糖の低下を認めた。空腹時血糖の低下について、タモキシフェン投与後2週頃からブドウ糖負荷試験、ピルビン酸負荷試験での血糖上昇が抑制され、6週目には糖新生関連遺伝子の発現が減少していたことから、糖新生の低下が示唆された。肝腫大について、Ogt-LKOでは肝細胞の風船様腫大、炎症、線維化を認め、空腹時の肝臓内グリコーゲン量が増加していた。グリコーゲン代謝に関連する遺伝子をRT-qPCRで評価したところ、タモキシフェン投与後早期(2週頃)から糖原病Ⅸc型の原因遺伝子であるphosphorylase kinase γsubunit (Phkg2) の著明な発現低下を認めた。またウエスタンブロットでPHKG2のタンパク発現も低下していた。 【考察】肝細胞におけるO-GlcNAc修飾欠損は、Phkg2の発現低下を介してグリコーゲンの分解を抑制する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タモキシフェン誘導性肝細胞特異的Ogt-KOマウス(Ogt-LKO)の表現型を検討できた。 また、その表現型をもたらした原因として、Phkg2の発現低下の可能性を考慮している。
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今後の研究の推進方策 |
タモキシフェン誘導性肝細胞特異的Ogt-KOマウス(Ogt-LKO)では肝細胞の風船様腫大、炎症、線維化を認め、空腹時の肝臓内グリコーゲン量が増加していた。グリコーゲン代謝に関連する遺伝子をRT-qPCRで評価したところ、タモキシフェン投与後早期から糖原病Ⅸc型の原因遺伝子であるphosphorylase kinase γsubunit (Phkg2) の著明な発現低下を認めた。またウエスタンブロットでPHKG2のタンパク発現も低下していた。 肝細胞におけるO-GlcNAc修飾の低下は、Phkg2遺伝子の発現低下を介して、phosphorylase kinase (PhK)によるglycogen phosphorylase (PYG)活性化を減少させ、グリコーゲンの分解を抑制する可能性がある。今後、O-GlcNAc修飾がPhkg2遺伝子発現を調節する機序、Phkg2の低下が代謝に与える影響などについて検討していく。
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