本研究では、糖尿病性多発神経障害(DPN)の新たな発症・進展機序解明のためにクローン性造血(CH)に注目した。疫学研究および動物実験より、CHは心血管死亡の新たなリスクファクターであること、その機序として免疫細胞が炎症性サイトカインを過剰に分泌し組織を障害することが報告されている。一方、TNFαやIL-6といった血中の炎症性サイトカイン濃度と糖尿病性多発神経障害の発症に相関があることが報告され、DPN発症に慢性炎症が関与している可能性が指摘されている。このような背景からDPNの発症・進展にCHが関与すると考え、DPNにおける炎症・免疫系の関与を明らかにすると共に病態解明と治療法開発に繋げる。
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