研究課題/領域番号 |
23K15426
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
川口 雄之亮 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20896625)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 短腸症候群 / 腸内細菌叢 / 腸管不全 / 腸管リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌叢を題材とした研究は近年になり盛んに行われているが、小児SBS患者に関しては報告が散見される程度であり、いずれもが一時点の腸内細菌叢を比較するに留まっている。腸内細菌叢は経時的に変化していくものであり、一時点での評価で病態と腸内細菌叢との関連の全容を解明することは極めて困難である。これまで小児SBS患者の詳細な臨床所見と経時的な腸内細菌叢の変化の解析を行った報告はないため本研究ではSBS症例の臨床像と糞便を経時的に解析し、腸管順応における腸内細菌叢の役割を明らかにし、新たな治療法を目指すものである。
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研究実績の概要 |
短腸症候群ないし腸管不全症に対しての糞便解析を行なっている。短腸症候群に伴う乳酸アシドーシス患者に対する糞便移植治療の糞便解析を行なった。D型乳酸アシドーシスは短腸症候群患者において、未消化の炭水化物が大量に大腸に流入することで、大腸内で発酵が起こり大腸内のpHが低下する。これにより酸抵抗性である乳酸菌が増加することで発生するD型乳酸により、非特異的な中枢神経障害を起こす病態である。治療として補液やアシドーシスの補正などの対症療法の他、プロバイオティクスや抗菌薬の投与などが行われるが、治療抵抗性なことが多い。今回、D型乳酸アシドーシスを繰り返す患者に対し糞便移植を行い腸内細菌叢解析を行なった。糞便移植前はLactobacillus属が腸内細菌の約7割を占めており、これがD型乳酸アシドーシスの原因と考えられた。移植前の腸管洗浄液投与によってClostridium属が腸内細菌のほとんどを占めることとなった。糞便移植開始によってBifidobacterium属が上昇しLactobacillus属の割合が減少したが、移植後1週の再増悪時にはLactobacillus属が再び約7割を占めており、症状の経過と合致した。この結果によって短腸症候群への糞便移植は一時的には明らかな細菌叢の変化がみられたが、腸内細菌の定着が悪いことがわかった。 このことより短腸症候群のD型乳酸アシドーシスの原因となる菌の候補を同定した。また短腸症候群では腸管への菌定着が難しいことがわかった。 また新規短腸症候群、腸管不全症患者のリクルートに成功し、現在糞便解析を実施中である。 腸管不全症における必須微量元素吸収のための腸内細菌叢解析も行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規短腸症候群患者の発生が当初より少なかったため、解析すべきサンプルが少なくなってしまった。 新規症例がリクルートすることができたため、今後は解析が進んでいくことが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
今回は短腸症候群では対象数が少ないため、短腸症候群のみならず腸管不全患者に対しての糞便研究として、対象患者数を増やして腸管順応における糞便解析を継続としていく。 また腸管不全症における腸管順応という水分吸収のみならず必須微量元素吸収のための腸内細菌叢解析も行なっていくことで短腸症候群の栄養吸収における腸内細菌の役割を研究していく。 補助栄養剤や栄養剤変更の効果などに関しての研究も追加していく。
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