研究課題/領域番号 |
23K15437
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
前鼻 健志 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30718002)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Heat shock protein 90 / 腎移植 / 拒絶反応 / 腎移植後拒絶反応 / 非侵襲的バイオマーカー / 熱ショック蛋白 / 修飾RNA |
研究開始時の研究の概要 |
腎移植後拒絶反応の確定診断は移植腎生検であるが、侵襲的処置であるうえ、即時の診断も困難である。我々は、熱ショックタンパク質(HSP)の一つであるHSP90の血清値が、腎移植後の高度な急性拒絶反応発症例で有意に上昇していること、HSP90が同種臓器移植における拒絶反応において、新規治療標的となり得る可能性を明らかにした。さらにHSP90の発現上昇に伴い、RNA修飾酵素であるADAR1の発現も上昇することが明らかとなった。そこで本研究は、腎移植後の拒絶反応時における尿中HSPおよびADAR1による修飾RNA量を測定し感度、特異度の高い新規バイオマーカーの開発することを目的として研究を行う。
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研究実績の概要 |
前向きに腎移植患者症例の血清、尿検体の採取を行い98症例、血清・尿それぞれ230検体を確保し、それぞれの検体採取時の臨床状況について、血清クレアチニン値の上昇の有無やBanff分類に基づいた生検結果を含め情報を収集した。また、血清・尿の熱ショック蛋白(Heat shock protein90:HSP90)濃度測定はELISA法を用いて開始している。検体採取は多施設共同研究で行なっており、現在は自院検体のみHSP90濃度測定を開始している。今後他院で採取した検体の処理も行う予定である。当院では急性拒絶反応を示した症例が1例のみであり、現時点では拒絶反応のマーカーとしての有用性の評価は行うことができていないが、拒絶反応を認めなかった群ではHSP90濃度は低値を示す傾向が認められている。他院の症例ではのべ7検体で急性拒絶反応を示しており、その検討を行うことでHSP90のマーカーとしての有用性の評価を行うことが可能であると思われる。今後、他院検体での測定を行ったのちに臨床データとの相関を確認し、拒絶反応のマーカーとしての有用性の評価を進めていく。また、急性拒絶反応以外にも慢性抗体型拒絶反応症例、カルシニューリン阻害薬による腎毒性症例、BKウイルス腎症症例などの評価に用いることが可能か臨床データと比較・検討していくことを予定している。 血中のRNA抽出については研究協力者の施設で実際に行われている方法を確認した上で、研究協力者の助言・指導のもと抽出方法を確立し、血清を用いたRNA抽出を開始した。こちらもHSP90濃度測定と同様にまず自院症例での抽出を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例・検体の収集は順調に行うことができている。また、血中・尿中HSP90濃度測定やRNA抽出を徐々に行なっておりデータは集積されてきている。自院症例での急性拒絶反応が少なく、血中・尿中HSP90濃度がマーカーとして有用かの評価を行うことができていないが、HSP90濃度測定、RNA抽出ともに測定・抽出方法を確立することができており、今後順調にデータを収集することができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
検体の収集は順調に行うことができており、このまま継続する。HSP90濃度測定やRNA抽出については測定・抽出方法を確立できたため速やかにデータの集積を行なっていく。今後抽出したRNAに含まれる修飾RNA量を測定し検討を行なっていく。
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