研究課題/領域番号 |
23K15440
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
伏見 淳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90974840)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | Dual-energy X線 / 乳房微細石灰化 / 乳癌 / 石灰化成分分析 / 石灰化 / マンモグラフィ |
研究開始時の研究の概要 |
乳癌検診の精度向上を目指し、Dual-energy X線技術を用いた乳房微細石灰化の成分推定を行う。乳房微細石灰化は、乳癌と関連するType-IIと関連しないType-Iに大別される。これまでの研究では、Dual-energy X線技術が石灰化の弁別に有用であることが示されているが、マンモグラフィでの有用性は不明である。本研究では、臨床検体における石灰化成分推定を通じて、Dual-energy X線補助下マンモグラフィ(DEXAM)の診断精度を検証する。この研究により、マンモグラフィの診断精度向上だけでなく、乳癌石灰化の成分分析が新たな治療効果予測因子や治療標的となる可能性が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、Dual-energy X線補助下マンモグラフィ(DEXAM)による乳房微細石灰化の成分推定が、乳癌診断に有用であるかを明らかにすることを目的としている。 今年度は、本研究を遂行するための準備を進めた。まず、ヒトを対象とした医学系研究として必要な倫理委員会への申請書類を作成中である。さらに、Dual-energy X線技術を搭載したマンモグラフィ装置の使用について、関連企業と協議を開始した。また、電子顕微鏡や赤外線分光光度計を用いた石灰化成分分析に関して、学内外の研究室と連携体制の構築を進めている。 これまでに申請者は、乳癌細胞株を用いて骨芽細胞分化試薬による石灰化誘導に成功しており、乳癌細胞からリン酸カルシウムが生成されることを明らかにしてきた。本研究では、この基礎的知見を基に、乳房微細石灰化の成分の違いに着目した新たな診断法の開発を目指す。 Dual-energyX線を用いたファントム実験では、Type-I/II微細石灰化の弁別が可能であることが報告されている。本研究では、これをヒト乳房に応用し、臨床検体を用いてDEXAMによる微細石灰化の成分推定を試みる。さらに、石灰化の成分と病理学的所見を対比することで、乳癌診断の新たな指標の確立を目指す。DEXAMの診断精度を検証し、将来的な臨床応用を見据えた研究を展開する計画である。 本研究の遂行により、乳房微細石灰化の成分分析という新たな観点から乳癌の画像診断の発展に寄与することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、Dual-energy X線補助下マンモグラフィ(DEXAM)による乳房微細石灰化の成分推定が乳癌診断に有用かを明らかにすることを目的としている。今年度は、本研究の遂行に必要な倫理委員会への申請、企業との協議、他研究室との連携体制の構築などの準備を進めている段階である。 当初の計画では、初年度から臨床検体を用いたDEXAMによる微細石灰化の成分推定と、病理学的所見との対比によるDEXAMの診断精度の検証を行う予定であった。しかし、倫理委員会への申請や、使用機器の調整などに時間を要しており、ヒトを対象とした臨床研究の開始にはもう少し時間がかかる見込みである。 一方で、これまでに申請者は乳癌細胞株を用いた基礎研究で石灰化誘導に成功しており、本研究の基盤となる知見は得られている。また、必要な臨床検体の収集については、申請者の所属施設での乳癌手術件数は十分であり、今後の研究の進捗に大きな支障はないと考えられる。 以上より、当初の計画よりは若干の遅れが生じているものの、倫理委員会の承認が得られ次第、速やかに臨床研究を開始し、研究期間内での目的達成は十分可能と考える。今後は、臨床研究の実施と並行して、基礎研究で得られた知見を深化させることで、本研究課題の達成を目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、Dual-energy X線補助下マンモグラフィ(DEXAM)による乳房微細石灰化の成分推定の乳癌診断における有用性を明らかにすることを目的としている。今後は以下の方策で研究を推進する。 【1】 倫理委員会の承認を得た後、速やかに臨床研究を開始する。まず、手術検体やマンモトーム生検検体を用いて、DEXAMによる石灰化成分のカラーマッピングと、病理標本での石灰化成分分析の対比を行う。これにより、ヒト乳房においてDEXAMで微細石灰化の成分推定が可能か検証する。 【2】 DEXAMで得られた石灰化の成分推定と病理診断を比較し、石灰化成分と乳癌の関連を分析する。各種画像処理技術も活用し、石灰化の特徴を定量化することで、新たな診断指標の確立を目指す。 【3】 前向き臨床研究により、DEXAMの診断精度を検証する。従来のマンモグラフィとDEXAMの診断能を比較し、DEXAMの臨床的有用性を評価する。 【4】 基礎研究と臨床研究を並行して進める。乳癌の石灰化の成分と形成機序について、さらなる基礎的知見を集積する。動物モデルや乳癌オルガノイド等の実験系を用いて、石灰化の分子メカニズムに迫る。 【5】 研究の進捗状況を定期的に確認し、問題点があれば柔軟に対応する。研究計画の修正が必要な場合は、倫理委員会への変更申請も速やかに行う。 【6】 研究成果は積極的に論文化し、学会発表を行う。DEXAMによる乳癌診断の有用性を広く発信することで、本研究の意義を社会に還元する。 将来的には、DEXAMを用いた乳房微細石灰化の評価が、乳癌の診断のみならず、治療方針の決定や予後予測にも応用できる可能性がある。本研究を足掛かりとして、乳癌診療のパラダイムシフトにつながる新たな知見の創出を目指したい。
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