研究課題/領域番号 |
23K15446
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
矢本 香織 浜松医科大学, 医学部, 特別研究員 (00906919)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 先天性気管狭窄症 / 全エクソーム解析 / 全ゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
先天性気管狭窄症は、気管膜様部が欠如した完全気管輪により換気障害をきたす致死的疾患で、その遺伝学的原因は未解明である。われわれは先行研究において、先天性気管狭窄症4例に対して全エクソーム解析を施行し、うち2例に遺伝子変異を同定した。そして、過去のマウスを用いた報告などから、これらの変異が先天性気管狭窄症の発症に関与しうることが強く示唆される。 本研究では、新たに症例を集積し、全エクソーム解析、全ゲノム解析およびRNA-seq解析を駆使した網羅的遺伝子解析を施行し、先天性気管狭窄症の原因遺伝子の同定を目指す。
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研究実績の概要 |
先天性気管狭窄症は、気管膜様部が欠如した完全気管輪により換気障害をきたす致死的疾患で、その遺伝学的原因は未解明である。われわれは、新たに1家系の検体を集積し、先天性気管狭窄症5家系に対して本人および両親の全エクソーム解析を施行した。その結果、うち2例にde novoのTBX5およびPTPN11遺伝子変異を同定した。 TBX5は、先天性心疾患と母指形成不全を特徴とするHolt-Oram症候群の原因遺伝子である。われわれは、先天性気管狭窄症に心房中隔欠損症、大動脈一尖弁などの先天性心疾患を合併した症例において、Holt-Oram症候群の原因として既報のTBX5のde novoのミスセンス変異を同定した。臨床所見およびXpの再評価の結果、母指の近位位置異常などの母指形成不全は認められなかった。TBX5は、TBX4とともに気管形成に関与しており、ノックアウトマウスでは気管軟骨が正常に形成されないことが報告されており、今回われわれが同定したTBX5遺伝子変異は、先天性気管狭窄症の発症にも関与している可能性が強く示唆された。そこで、TBX5 Wild type, 本変異, 過去に機能低下が報告されているミスセンス変異に対して、TBX5のレポーターであるNPPAを利用したルシフェラーゼアッセイを施行した。その結果、今回同定されたTBX5ミスセンス変異によって活性が低下することを明らかにした。さらに、in silico構造解析を施行し、本ミスセンス変異により、TBX5タンパク質の安定性が低下することが予測された。 残る3家系については、全エクソーム解析では明らかな候補原因遺伝子は同定されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同定されたTBX5遺伝子変異に対して、機能解析を施行し、機能低下を示すことができた。また、新規1家系に対しても全エクソーム解析を施行した。
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今後の研究の推進方策 |
全エクソーム解析で疾患原因が同定されなかった先天性気管狭窄症3家系に対して、全ゲノム解析を施行する。希少疾患であり、対象患者の検体集積が難しいことが課題である。協力病院を増やして、検体集積を進めていく方針である。
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