研究課題/領域番号 |
23K15451
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
和田 佑馬 徳島大学, 病院, 特任助教 (80773944)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | エクソソーム / microRNA / 耐性株 / miRNA / 肝細胞癌 / 化学療法抵抗性 / 腫瘍微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、細胞間のコミュニケーションとして、癌細胞から分泌されるエクソソーム中のmiRNAが生体内で細胞の性質を変化させる事が分かっており、新たな治療戦略の一つとして着目されているが、治療抵抗性に関してはいまだ不明な点が多い。今回、消化器癌におけるエクソソームmiRNAの役割に着目し、化学療法耐性の癌細胞から分泌されるエクソソームmiRNAが癌細胞の性質を変化させ、さらに癌細胞の悪性度を増強するという仮説のもと、治療抵抗性肝細胞癌の増殖・進展過程における機序を明らかにする。
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研究実績の概要 |
【背景】切除不能肝細胞癌においてlenvatinibが広く使用されるようになってきたが、薬剤耐性の獲得が問題である。その一つに、Nrf2シグナルが知られているが、その詳細な機序は不明である。今回Nrf2を基軸とし、エクソソームを介した腫瘍間interactionによるLenvatinib耐性機序を検討した。 【結果】肝細胞癌細胞株Huh7を用い、1週毎に培養液中のLenvatinib濃度を増加させ20μMで耐性株(4倍耐性)を樹立し、親株と耐性株で比較検討を行った。耐性株では親株に比し、悪性度の上昇を認めた。また、Nrf2 mRNAの発現は増強し、WBでは核内のNrf2の発現が増強し、蛍光免疫染色で有意な核内移行を認めた。遺伝子発現では、stemness markerの上昇を認め、Nrf2の発現は耐性株で有意に高発現であった。コロニーフォーミングアッセイでは、Nrf2阻害によりレンバチニブの耐性が解除されており、遺伝子発現でも耐性株で発現増強していたNrf2やCD44はNrf2阻害により低下していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝細胞癌細胞株に化学療法(Lenvatinib/Sorafenib)を投与し、化学療法耐性肝細胞株を樹立することに成功した。さらに、親株と耐性株で比較検討を行い、耐性株で腫瘍悪性度が上昇することを確認した。つまり、耐性株では通常の癌細胞株に比べて、増殖能が高く、浸潤能も化学療法存在下でも阻害されないという結果であった。そして、遺伝子発現では、NanogやCD44といったstemness markerや、Nrf2の発現は耐性株で有意に高発現であった。コロニーフォーミングアッセイでは、Nrf2阻害によりレンバチニブの耐性が解除されており、遺伝子発現でも耐性株で発現増強していたNrf2やCD44はNrf2阻害により低下していた。また、耐性株でPINK1は高発現していたが、Nrf2を阻害することで発現は減弱し、オートファジーマーカーのLC3はミトコンドリア内に発現しており、PINK1によるマイトファジーの増強が示され、Nrf2の阻害によりその発現も減弱していた。以上より、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、化学療法耐性細胞株から分泌されるエクソソームの特徴として、分泌されるエクソソームの特徴に関する検討を行う予定である。耐性株から分泌されるエクソソーム特性において、化学療法耐性株から放出される特異的なエクソソームmiRNAを同定する。その同定されたエクソソームmiRNAを阻害し、腫瘍悪性度や治療抵抗性を比較検討する。
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