研究課題/領域番号 |
23K15452
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松本 奏吉 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60963626)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 膵癌 / 癌関連線維芽細胞(CAF) / heterogeneity / scRNAseq / 腫瘍免疫微小環境 / ナノ粒子 / 免疫微小環境 / 癌関連線維芽細胞 / CAF |
研究開始時の研究の概要 |
難治性腫瘍の代表である膵癌において腫瘍免疫療法の有効性は示されていない。我々は、膵癌に特徴的な抑制性の免疫微小環境の存在が、免疫療法への大きな障壁になっていると考え、膵癌微小環境を形成する重要なファクターとしてCAFに着目した。独自のscRNA-seq解析、マイクロアレイ解析により免疫抑制性微小環境の形成に関わる特定のCAFクラスターを同定する。これを標的とすることで膵癌特有の抑制性免疫微小環境を打破することが可能となり、腫瘍免疫サイクルを活性化し、免疫療法と併用することで相乗効果が期待できる。さらに、腫瘍特異的なDDSであるナノ粒子を用いることで、より効果的な間質標的治療を実現させる。
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研究実績の概要 |
近年他癌腫で有効性が示されている免疫チェックポイント阻害剤の有効性は示されていない。膵癌において特徴的な抑制性の微小環境がその一因であると考え、膵癌微小環境を形成する重要なファクターとしてCAFに着目した。CAFを標的とする治療については、逆に膵癌の悪性度を高めるという報告がある中、ある特定のCAFを治療標的とすることが重要であると考え、独自のscRNAseqデータに基づいて特定のCAFクラスターをtargetとすることで、癌間質相互作用や物理的な間質構造を改変するのみならず、膵癌特有の免疫抑制性微小環境の改変を実現することを目的とした。 【1.抗腫瘍免疫抑制性CAFクラスター及び標的蛋白の同定】当研究室の正常組織由来ヒト線維芽細胞と膵癌由来ヒト線維芽細胞のマクロアレイデータ及び膵癌シングルセル解析のパブリックデータを用いて、CAFクラスターの発現変動遺伝子を同定した。そのうちTCGAデータでT細胞の疲弊化と相関のある標的蛋白Xを同定した。 【2.標的蛋白の局在確認と機能的評価】標的蛋白Xをヒト膵癌手術検体を用いて免疫染色を行い、検体によって発現の強弱があることを確認した。 【3.In Vivoにおける免疫抑制性CAFを標的とした腫瘍免疫の影響】同定した標的蛋白Xを膵癌由来ヒト線維芽細胞及びKPCマウス由来線維芽細胞でKOし、腫瘍縮小効果、免疫細胞への影響を今後確認していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当研究室で樹立した正常組織由来ヒト線維芽細胞と膵癌由来ヒト線維芽細胞のマクロアレイデータ及びパブリックデータから膵癌標的蛋白Xを同定し、ヒト手術検体を用いてCAFに発現していることを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
当研究室で樹立した正常組織由来ヒト線維芽細胞と膵癌由来ヒト線維芽細胞のマクロアレイデータ及びパブリックデータから同定した膵癌標的蛋白XをKOしたKPCマウス由来CAF及びヒト膵癌由来CAFを作成し、B6マウス、nudeマウスへ同所移植する。移植した腫瘍の増殖能、腫瘍の免疫染色、腫瘍のフローサイトメトリーによる解析を行い、標的蛋白Xが免疫細胞、腫瘍免疫微小環境へ与える影響を解析する。 最終的には標的蛋白X阻害剤や抗体を同所移植モデルに投与することで、腫瘍縮小効果をみとめるか、腫瘍免疫微小環境への影響を解析し新規治療法となりうるかを検証する。
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