• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

力覚フィードバック機能を有する革新的手術支援ロボットの研究開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K15462
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
研究機関福岡大学

研究代表者

上田 雄一郎  福岡大学, 医学部, 助教 (90910787)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード手術支援ロボット / 力覚フィードバック機能 / 空気圧駆動 / 組織損傷 / 術後合併症
研究開始時の研究の概要

ロボット支援下手術は多関節のアームや手振れしない機構により、ヒトの手では再現出来ないような精密な手術を可能とする。しかし触覚がないことが大きな問題点であり、視覚に頼った手術においては予期せぬ臓器損傷の可能性がある。リバーフィールド社が開発した空気圧駆動ロボット「Saroa」は鉗子にかかる力をリアルタイムに術者にフィードバックする機構を備えた手術支援ロボットである。本研究の目的は鉗子にかかる力量を複数のタスクにおいて測定することで、力覚フィードバック機能が外科手術において有用であるかを検証することである。

研究実績の概要

多関節を有するロボット鉗子は精密な手術を可能とするが、触覚がないことが大きな課題である。視覚情報で組織の変形により臓器にかかる力量を推定しながら手術を行うが、予期せぬ損傷を来たす場合がある。本研究の目的は、力覚フィードバック機能を有するロボットを用いた手術手技において、鉗子が組織に与えるダメージを軽減することを証明し、より安全なロボット支援下手術の施行に貢献するかどうかを検証することである。初年度における研究として以下の2つの実験を実施した。①単純タスク(ポン菓子移送タスク)における力覚フィードバックによる効果の検討②摘出ブタ肺剥離における力覚フィードバックによる効果の検討
それぞれのタスクにおいてフィードバック機能オン、オフそれぞれの0.1N以上の鉗子にかかる力量をログとして保存した。データをグラフ化し、さらに力量の平均値(Artifactを除去するため)、積分値ならびに分散値を測定解析した。また、ポン菓子の移送タスクにおいてはタスク終了までの時間変化、ポン菓子の損傷個数をそれぞれ測定した。得られたデータをもとに被験者やタスクの種類による鉗子に与える力量の違いを分析、力覚フィードバック機構がどのように影響するか解析し、その結果が外科手術に有用であるかどうか検証した。その結果力覚フィードバック機能をオンとした際は有意に鉗子にかかる力量は低下しており、組織に与えるダメージが軽減されることが示唆された。これらの成果を国内、国際学会で発表し、"Impact of a pneumatic surgical robot with haptic feedback function on surgical manipulation" Sci Rep. 2023;13(1):22615として論文化した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度予定していた「単純タスクにおける力覚フィードバックによる効果の検討」、「摘出ブタ肺剥離における力覚フィードバックによる効果の検討」という2つのタスクに分けて行った実験は順調に遂行し、結果も当初の予定通り有意なものであった。4つの国内の全国学会、1つの国際学会にてこれらの研究成果を報告し、論文としてまとめたのちに英文雑誌に投稿し、2023年12月にScientific Reports雑誌に掲載された。これらのことより、おおむね当初予定した研究計画通り進展している。

今後の研究の推進方策

2年目では生体動物での肺葉切除の実施を行う予定であり、力量の変化が実際の組織へのダメージをどのように変化させるか、イヌやブタなどの大動物を用いた実験を行う。生体肺での肺葉摘出を行い、実際の組織に与えるダメージを組織学的に評価し、力覚フィードバック機構の有用性を実証する。また、呼吸器領域だけではなく、消化器外科や婦人科など他臓器へ実験対象を拡大していく予定である。しかし、大動物の確保や福岡大学附属の動物実験施設においてのロボット支援下が可能であるかの検討が課題である。不可能な場合はその他の動物実験が可能な大規模施設での実験実施が必要である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Impact of a pneumatic surgical robot with haptic feedback function on surgical manipulation2023

    • 著者名/発表者名
      Ueda Yuichiro、Miyahara So、Tokuishi Keita、Nakajima Hiroyasu、Waseda Ryuichi、Shiraishi Takeshi、Sato Toshihiko
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1

    • DOI

      10.1038/s41598-023-49876-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] EVALUATION OF THE IMPACT OF A PNEUMATIC SURGICAL ROBOT WITH HAPTIC FEEDBACK FUNCTION2023

    • 著者名/発表者名
      Ueda Y
    • 学会等名
      31st ESTS meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ロボット手術の未来を変える力覚フィードバック機能を有する手術支援ロボットSaroaの開発研究2023

    • 著者名/発表者名
      上田 雄一郎
    • 学会等名
      第123回日本外科学会定期学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 力覚フィードバック機能を有するロボットはロボット支援下手術特有の合併症を軽減できるか?2023

    • 著者名/発表者名
      上田 雄一郎
    • 学会等名
      第40回日本呼吸器外科学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 力覚フィードバック機能はロボット支援下手術の安全性を高めるか?~力覚フィードバック機能を持つ手術支援ロボットサロアを用いた基礎研究~2023

    • 著者名/発表者名
      上田 雄一郎
    • 学会等名
      第76回日本胸部外科学会定期学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 触覚を有した手術支援ロボットSaroaサージカルシステムの臨床経験2023

    • 著者名/発表者名
      上田 雄一郎
    • 学会等名
      第36回日本内視鏡外科学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi