研究課題/領域番号 |
23K15503
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 晶 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20721608)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 大腸癌 / 糖尿病 / メトホルミン / 好中球細胞外トラップ / 腫瘍浸潤リンパ球 / Diabetes / NETs / Metformin / がん微小環境 / DPP-4阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病合併癌患者の予後は内服する抗糖尿病薬の種類によって大きく異なる。また、糖尿病患者の好中球は細胞外トラップ(NETs)を形成しやすく、これが創傷治癒の遷延をもたらすことも解ってきた。一般に、癌組織内には多数の好中球が浸潤しており、その一部はNETsを形成していることが解っているが、その生物学的意義は不明である。そこで、メトホルミンとDPP-4阻害薬がNETs産生能を介して予後にどんな影響を与えているのか?を動物実験とヒト癌の切除サンプルを用いて検討する。その結果から、近年社会問題化している「糖尿病合併癌」に対する新たな対策法を見出すことを目指す。
|
研究実績の概要 |
2010年4月から2022年3月に当科で治癒切除が行われた糖尿病を合併した大腸癌313例について、手術時の糖尿病治療薬の服薬状況、臨床病理学的因子及び術後全生存率(OS)と術後無病生存率(DFS)を調査した。糖尿病合併症例のうちメトホルミン内服症例は大腸癌が73名(23.3%)、胃癌が63名(29.9%)、膵癌が12名(23.5%)だった。また、メトホルミン内服群は非内服群と比較してOSに差は認められなかった(p=0.18)が、DFSは有意に良好であった(p<0.01)。 糖尿病合併大腸癌症例の内メトホルミン内服症例40例とpropensity scoreで一致させた非内服群の切除標本から病理切片を作成し、TANをCD66b、NETsをシトルリン化ヒストン3(CitH3)、TILをCD3とCD8に対するモノクロナール抗体を用いた多重免疫染色法にて同定し、TAN、Tumor-associated NETs、TILの密度を定量し比較検討した。メトホルミン内服群におけるCD66b(+)細胞の密度は非内服群よりも有意に低かった(p<0.001)。また、CD66b(+)CitH3(+)NETの密度もメトホルミン内服群は非内服群と比較して有意に低かった( p<0.001)。また、メトホルミン内服群におけるCD3(+) TIL、CD8(+) TILの密度は共に有意に増加していた (p<0.01)。 さらに、80 人の患者全員において、TAN またはTumor-associated NETs と CD8 (+)TIL の間に負の相関関係が認められました (r=-0.26、p<0.05)。 In vitroの検討では、メトホルミンはLPSで刺激したヒト末梢血好中球からのNETsの産生を濃度依存性に抑制すること、NETsの存在が活性化リンパ球の走化性を抑制することが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メトホルミンの服用が大腸がん患者の予後と関連していること、大腸癌組織中の好中球やNETと関連していることが確認された。
|
今後の研究の推進方策 |
免疫染色の追加。 メトホルミン以外の抗糖尿病治療薬とNETとの関連性の追求。
|