研究課題/領域番号 |
23K15515
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
五十嵐 隆通 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20648472)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 膵臓癌 / KRAS / セルフリーDNA |
研究開始時の研究の概要 |
近年、血液中のセルフリーDNA (cfDNA) が注目され、そのKRAS変異は膵癌の予後不良マーカーとなると報告されているが、微小転移診断におけるcfDNAを用いたKRAS変異解析の有用性や、切除可能性分類との関連については未だ明らかでない。本研究では膵癌の新たな診断・治療戦略を確立することを目的として、膵癌患者の血清より抽出したcfDNAをもとにKRAS変異解析を行い、微小転移診断における有用性や切除可能性分類との関連、治療前後の変化を調べる。我々は膵癌患者の腹腔洗浄細胞診陽性は予後不良因子であることを報告しており、同知見と併せて、膵癌の早期精密診断および治療戦略の構築に貢献する。
|
研究実績の概要 |
膵癌患者の血清および洗浄腹水より抽出したcfDNAを用いてKRAS変異解析を行い、微小転移診断における有用性や切除可能性分類との関連、治療前後の変化を検討し、膵癌の新たな治療戦略を確立することを目的に本研究を開始した。 2017年から2023年までに初回治療前に審査腹腔鏡を実施した膵癌250例を後方視的に検討した結果、腹腔細胞診陽性の頻度は、局所進行度に比例して増加したが、肝転移および腹膜播種の割合は同等であった。また化学療法後の腹腔細胞診陰転化率およびConversion手術実施率は局所進行度に反比例した。腹腔細胞診陽性例は切除可能膵癌では体尾部癌および腫瘍径32mm以上が、切除可能境界膵癌ではDUPAN-2≧230U/mLが有意なリスク因子であった。一方、局所進行切除不能膵癌では有意な因子は観察されなかった(Ann Gastroenterol Surg. 2023, Jul)。 研究代表者の異動に伴い、新たな所属機関において上記知見を踏まえて膵癌に対する審査腹腔鏡施行基準を確立した。KRAS遺伝子変異解析のため、切除可能例、切除可能境界例においては根治切除術前後の、切除不能例においては化学療法前の患者血清保存を進めるとともに、手術時の洗浄腹水保存体制の整備、ならびにDNA抽出・解析体制の整備を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の異動に伴い、新たな所属機関においても先行研究で得られた知見を踏まえ、審査腹腔鏡施行基準を確立し、切除可能例・切除可能境界例においては根治切除術前後の、切除不能例においては化学療法前の患者血清保存を進めるとともに、手術時の洗浄腹水保存、ならびにDNA抽出・解析体制の整備を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
保存血清ならびに保存腹水からDNAを抽出し、KRAS変異陽性率と、画像診断に基づく臨床病期や切除可能性分類との関連について検証する。 また、血中および洗浄腹水中のKRAS変異陽性率と審査腹腔鏡所見の関連について検証する。特に画像診断が困難とされる腹腔細胞診陽性率や、微小播種結節陽性率との相関を検証する。さらに、治療前後におけるKRAS 変異の変化とその意義、予後について検証する。
|