研究課題/領域番号 |
23K15556
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
塩谷 俊雄 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (90851246)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肺移植 / 慢性移植肺機能不全 / マイクロRNA / エクソソーム / エクソソームマイクロRNA / miRNA |
研究開始時の研究の概要 |
標的エクソソームmiRNA(exo-miRNA)は、慢性移植肺機能不全(CLAD)患者5名(脳死3名、生体2名)のCLAD診断1年前と診断年、非CLAD患者5名の血液検体を用いて行われた予備実験(ヒトの2578種のmiRNAを対象としたマイクロアレイによる網羅的解析)の結果から、10個を測定候補として絞り込んでいる。本研究では肺移植患者の血液検体を用いて、10個の標的exo-miRNAを測定する。血中exo-miRNAの測定がCLADの新たな早期診断法となりえるか、その有用性と妥当性を問い、肺移植後の更なる長期生存を可能にする新規診断法の開発に挑戦する。
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研究実績の概要 |
2016年から保存してある肺移植後患者の血液検体よりエクソソーム単離および、エクソソームに含まれるマイクロRNA(exo-miRNA)を行い、手技の安定化を確保することが出来た。 次に、慢性移植肺機能不全(CLAD)診断時およびその1年前の血液検体が両方そろっている9名のうち、各背景因子がマッチングしたCLAD患者3名および非CLAD患者3名を対象として、探索的研究を行った。exo-miRNAよりマイクロアレイを実施した結果、7種類のmiRNA(miR-17-5p, miR-150-5p, let-7b-5p, let-7c-5p, miR-122-5p, miR-126-3p, miR-185-3p)が標的exo-miRNAとして選定された。 その後、検証的研究として、これらmiRNAの発現量をqPCR法を用いて、CLAD患者および非CLAD患者間で比較した結果、miR-17-5pおよびmiR-150-5pの発現量がCLAD患者で有意に上昇していた(miR-17-5p, P<0.0001; miR-150-5p, P=0.0005)。CLAD診断における有用性に関して、ROC解析を用いて検討したが、miR-17-5p(AUC 0.92)、miR-150-5p(AUC 0.86)といずれのマーカーもCLAD診断において良好な検出力であった。CLAD発症1年前の血液検体に関しても同様の解析を行ったが、1年前に関しては両郡間において有意差を認めなかった。miR-17-5pおよびmiR-150-5pは、どちらも線維化に関係するmiRNAとして、肝臓および腎臓、心臓で報告されているmiRNAである。CLADも移植肺に線維化を来すことで発症すると報告されており、これらmiRNAの発現量がCLADの新規バイオマーカーとなり得る可能性があると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に実施することとしていた、肺移植後CLADにおけるexo-miRNAの網羅的解析、標的exo-miRNA(miR-17-5pおよびmiR-150-5p)量の経年的変化の評価とCLAD発症の有無による比較検討はすでに実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
標的miRNA(miR-17-5pおよびmiR-150-5p)における追加検討として、CLAD診断基準とされている一秒量、努力肺活量、全排気量のベールライン変化率との相関関係を評価する。また、サブグループ解析として、脳死肺移植後と生体肺移植後のCLADのexo-miRNA量の評価や、CLAD亜型におけるexo-miRNA量の違いも検討する予定としている。 CLADによる肺障害の程度や進行度にexo-miRNAがどのように関わってくるか、検討する。
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