研究課題/領域番号 |
23K15569
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
濱田 顕 近畿大学, 医学部, 講師 (80772954)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 肺癌 / ゲノム / EGFR / エクソン20挿入変異 / 分子標的治療 / 肺がん / HER2 |
研究開始時の研究の概要 |
EGFR・ALK・ROS1・BRAFなど治療標的となる遺伝子異常の発見とその標的薬の開発により、肺癌の治療成績は向上したが、EGFR変異の約6%を占めるexon 20 挿入変異に対しては既存のEGFR-TKIの効果は乏しい。近年、新規TKIであるmobocertinibが、EGFR exon 20 挿入変異を有する肺癌に対して米国FDAで承認され、この他にも有望なTKIの報告もある。本研究では人工的に作成したEGFR、HER2 exon 20 挿入変異腫瘍細胞モデルを用いて、獲得耐性機序の探索を行い、EGFR/HER2 exon20挿入変異陽性肺癌の治療成績の向上に繋がる基礎データを創出する。
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研究実績の概要 |
近年、米国FDAにおいて、EGFRエクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん患者を対象として特異的に設計された経口治療薬mobocertinib(TAK-788)が、同対象に対する分子標的薬として承認された。この他にも有望なTKIとして、zipalertinib(CLN-081)、sunvozertinib(DZD9008)の報告もある。当院では過去に、EGFRエクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がんモデルに対する、tarloxotinibとpoziotinibの二次耐性機序について解明し、報告している(Nishino, et al.Thoracic Cancer 2021)。先行研究で樹立済みのEGFRエクソン20挿入変異を伴うBa/F3細胞株(V769insASV、D770insSVD、H773insNPH、H773insH、A763insFQEA)を用いて、各バリアントごとの新規TKIの有効性を比較すると共に、mobocertinib(TAK-788)の二次耐性機序を、点突然変異を高率に誘発するENU(N-ethyl-N-nitorosourea)に曝露させることで探索した。その結果、MTTアッセイによるIC50値の比較では、いずれのバリアントでもmobocertinibが有効であることを確認した。また、二次耐性機序として、C797S、T790M二次耐性変異の発現頻度が高く、バリアントにより発現頻度が異なることに加え、F856Vという新規耐性変異を同定した。そして、FQEA+C797S二次耐性変異は過去の報告と同様に、第一世代EGFR-TKIであるerlotinibで、新規知見としてT790M二次耐性変異はsunvozertinibで耐性克服が可能であることを解明した。これらの結果をJournal of Thoracic Oncology誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EGFRエクソン20挿入変異を伴うBa/F3細胞株(V769insASV、D770insSVD、H773insNPH、H773insH、A763insFQEA)を用いて、各バリアントごとの新規TKIの有効性の比較、mobocertinib(TAK-788)の二次耐性機序の解明と克服の研究が終了しており、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
EGFRエクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん患者に対する有望なTKIとして、zipalertinib(CLN-081)があるが、他のEGFRエクソン20挿入変異特異的なTKIは野生型EGFRに対するIC50は比較的高く、副作用が強いことが知られている。一方で、zipalertinibは野生型EGFRに対するIC50が低く、副作用が弱いことから、その効果も相まって、現在、開発が特に進められている。今後は、このzipalertinibに対する、EGFRエクソン20挿入変異を伴うBa/F3細胞株(V769insASV、D770insSVD、H773insNPH、H773insH、A763insFQEA)の二次耐性機序を、点突然変異を高率に誘発するENU(N-ethyl-N-nitorosourea)に曝露させることで探索する。
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