研究課題/領域番号 |
23K15572
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
泰地 沙季 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (40896403)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | gasping / セボフルラン / 体温変化 / 舌骨上筋群 / 呼吸生理 |
研究開始時の研究の概要 |
Gaspingは、心肺停止などで発生する異常呼吸パターンのひとつで、自己蘇生に有利に働くと考えられている。重度の低酸素によるgaspingは数分程度しか継続せず、詳しい解析は困難だが、高濃度セボフルランにより誘発されたgaspingは10分以上持続し、gasping研究に有用となる可能性がある。高体温がgaspingを抑制し乳幼児突然死症候群患者の死亡率に強く関連する一方で、低体温がgaspingに与える影響はほとんどわかっていない。本研究では、体温変化がセボフルラン誘発性gaspingに及ぼす影響を検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、①C57BL6マウスにおけるgaspingの定義の検討、②新しい計測項目の検討、③動脈血液ガス採取の方法の検討と習熟、を行った。 ①に関して、gaspingは少ない呼吸回数・大きな一回換気量・大きな呼吸努力を特徴とし下顎の動きを伴った異常呼吸の1種として知られているが、その定義を詳細に検討した研究はほとんどない。体温変化によるgasping抑制を検討するにはgaspingの定義が必要と考え、上記の検討を行った。この結果は今後論文として発表する予定である。 ②について、呼吸努力を測る指標の一つとして、舌骨上筋群の筋電図が有用と考え、体温変化や高濃度セボフルランによる舌骨上筋群の筋電図変化について実験を行っており、セボフルラン誘発性gaspingでは舌骨上筋群の活動が増大することが観察された。さらに、中等度の麻酔深度では、低体温が呼吸を抑制する過程で一時的に呼吸数の低下と一回換気量の増大があるがgaspingとは異なることがこれまでの実験でわかっている。この時の筋電図がgaspingほど増大しないことも観察された。 ③動脈血液ガス採取の方法の検討と習熟は、今後の実験の準備として現在も継続して行っている。本研究ではマウス同一個体から実験中の適切なタイミングに複数回安定して動脈血液ガス採取を行う必要があるため、従来の尾動脈からの採取では不十分と考え、大腿動脈にカニュレーションして採血することを検討している。最終的には血圧測定にも使用したいため、安定したカニュレーションを行えるように手技の習熟のための練習を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
体温変化によるセボフルラン誘発性gaspingの影響を検討するにあたり、gaspingの定義が必要なことが判明し、それのためのデータ収集・解析に時間がかかった。定義を検討するにあたり別の実験を行う必要もあり、余計に時間を要した。 動脈血液ガス採取に関しては外部の研究者に教えを請い、その後は定期的に練習しているがまだ手技の習熟話されていない。これも実験を遅らす原因の一つになっている。
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今後の研究の推進方策 |
gaspingの定義は決定できたため、この定義を用いて今後の実験における検討を行う。 筋電図による評価はある程度有用性が確認できたが、まだ測定結果は安定しておらず、引き続き評価方法を検討する。 動脈血液ガス採取の方法はまだ習熟していないが、動脈血液ガス採取を要する実験は本研究の一部であり、ほかの実験を先に行っていくこととする。
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