研究課題/領域番号 |
23K15598
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
神谷 諭史 広島大学, 病院(医), 助教 (80816348)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | オピオイド感受性 / 最適な鎮痛レベル |
研究開始時の研究の概要 |
全身麻酔で良く用いられるオピオイド性の鎮痛薬はとても有用である反面、投与量の過量あるいは過小により様々な副作用が生じてしまう。オピオイドの必要量には個人差が大きいことも知られているため、全身麻酔の難易度が高くなる一因となってしまっている。そこで我々の研究グループは標準化テタヌス刺激に対する交感神経応答閾値を指標として個人のオピオイド感受性を定量化できる可能性を見出した。今回の研究では、術中や術後痛に焦点を当て、手術を受ける患者のオピオイド必要量を本指標が予測できるか、またその妥当性の検証を行う。結果として、至適オピオイド量を事前に決定しテイラーメイドの全身麻酔を出来るようになる可能性がある。
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研究実績の概要 |
MECKの応用として主に二つの研究が進行している。 一つ目は、食道悪性腫瘍手術後の患者を対象としてMECKを指標とした適切なオピオイドによる疼痛管理の研究を行った。計20例の患者を対象して術前と術後にMECKを計測した。術後の疼痛管理に必要なオピオイド量とMECKが高度に相関していることを確認した。この結果を海外学会での発表、ならびに論文として報告予定としている。この結果を基とし、さらに食道悪性腫瘍手術以外の術後疼痛管理への応用を計画段階にある。 二つ目として、研究実施計画に記載の如く、オピオイド感受性指標であるMECKを用いて事前に決定したオピオイド量で麻酔維持を行い、手術侵襲に対する有害な交感神経反応が抑制されることを確認する研究の計画を立てている。未承認の医療機器を用いた研究ゆえ、計画段階で相応の時間を必要とされている状況である。委員会での審査終了後にただちに研究開始と出来る準備は揃っている。引き続き、審査に向けた計画書の作成を行う。 その他、オピオイド感受性の個人差はある種の遺伝子多型の有無によることが提唱されていることから、被検者からは、20 mLほどの採血を行い、これを検体として遺伝子多型の有無を検索すると計画書に記載している。遺伝子多型をもとにした場合と上に述べたMECKをもとにした場合でのオピオイド感受性指標の両者を作成しその比較を行う予定のうち、遺伝子多型の同定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オピオイド感受性指標であるMECKを用いて事前に決定したオピオイド量で麻酔維持を行い、手術侵襲に対する有害な交感神経反応が抑制されることを確認する研究に関しては、実施開始出来ていないためやや遅れていることは否めない。しかし、その他MECKをオピオイド感受性指標とした研究を複数進められており、一部ではデータを取り終えて論文化に着手出来ている課題もある。さらに遺伝子多型を含めた研究においてもその同定は着実に進んでいる。よって、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、オピオイド感受性指標であるMECKを用いて事前に決定したオピオイド量で麻酔維持を行い、手術侵襲に対する有害な交感神経反応が抑制されることを確認する研究を開始できるよう、これを最優先として計画立案を続けていく。また、これに限らず複数の研究段階にある課題があるため、論文化や学会発表、データ取得を順次進めて行く。
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