研究課題/領域番号 |
23K15621
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
田中 克 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(助教) (60774099)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 急性呼吸窮迫症候群 / two-hit theory / 凝固線溶系異常 / トロンボエラストメトリー / 出血合併症 |
研究開始時の研究の概要 |
重症頭部外傷において約20%に急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) が発症し, 神経学的予後や生命予後の悪化に関連するとされる。そのタイミングで出血リスクが高い頭部外傷後のARDSへ体外式膜型人工肺 (ECMO) 導入が, 出血増悪を起こすことなく二次性低酸素性脳損傷を回避できるかが課題である。本研究は頭部外傷後にARDSを誘導した小動物モデルにECMO導入を行い, 凝固線溶系反応の変化についてトロンボエラストメトリーなどを用いて評価する。また, 変動する凝固線溶異常に安全にECMOを導入しうるタイミングを探るなど, 最適なECMO管理法を提案しうる革新的基礎研究である。
|
研究実績の概要 |
体外式膜型人工肺(Extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)の中でも, 静脈(Venous)から静脈(V)に送るVV-ECMOは重症呼吸不全患者に対して用いられる。2019年から数年にわたって世界的に流行したCOVID-19に対しても多く使用されてきた。そのなかでも, ECMO管理中に頭蓋内に出血する症例などが報告されるなど, ECMOと出血合併症は未だに大きな課題である。さらに, 頭部外傷後とい う出血リスクが高いARDSへのECMO導入に際し, いかに出血を増悪させることなく二次性脳損傷を回避し, ARDSの治療に繋げられるかは臨床上の重要な課題である。本研究は, 頭部外傷後にARDSを誘導したsecond-hit小動物モデルに対しECMO導入を行い, 凝固線溶系反応の変化についてトロンボエラストメトリーなどを用いて評価する。そのことで線溶亢進が著しくダイナミックに変動する凝固線溶異常を伴う頭部外傷に, 安全にECMOを導入しうるタイミングや出血合併症を制御するための最適なECMO管理法を提案できることが期待される。2023年度は, ラット重症頭部外傷モデルにARDSを誘導した重症頭部外傷ARDSモデルの作製と, そこにECMOを導入した頭部外傷ECMOモデルの作製を行う。2024年度は, モデル調整を行い, 凝固線溶系マーカーやトロンボエラストメトリーなどを用いた評価をECMO導入前後で経時的に行う。それらにより, 頭部外傷後という出血リスクが高いARDSへのECMO導入をより安全に行うための導入のタイミングなどを検討し, より最適な頭部外傷後のECMO管理を提案していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は, ラット重症頭部外傷モデルにARDSを誘導した重症頭部外傷ARDSモデルの作製と, そこにECMOを導入した頭部外傷ECMOモデルの作製, それぞれのモデルの確立を目指していた。ただ, ECMO流量が確保できないなどカニュレーションの変更や回路の調整などECMO導入における調整に時間がかかり, モデル確立という当初予定まで進まなかった。そのため, 経験のある施設へ見学などを行い, モデル確立まで今一歩まできている。
|
今後の研究の推進方策 |
1) ラットを用いた重症頭部外傷モデル, 重症頭部外傷ARDSモデル, 頭部外傷ECMO導入モデルの作製・モデル確立を行う。 2) 頭部外傷後のARDS誘発やECMO導入による凝固線溶系反応の変化の評価については, モデル毎に凝固線溶系マーカーやトロンボエラストメトリーなどを用いて経時的に行う。特に頭部外傷前後, ARDS誘発前後, ECMO導入前後, 加えて経時的な変化を追っていく。このことで出血リスクが高いARDSへのECMO導入をより安全に行うための導入のタイミングやより安全なECMO管理方法などを明らかにする。
|