研究課題/領域番号 |
23K15640
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中田 聡 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10817191)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 髄芽腫 / DNA傷害応答 / 悪性脳腫瘍 / ATR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は, 髄芽腫でのSLFN11発現とDNA傷害薬に対する感受性の相関を調べ, バイオマーカーとして確立することである. さらにSLFN11が低発現で従来のDNA傷害治療に抵抗性を示す症例を, SLFN11発現を上昇, もしくは代替経路を阻害することで救済したいと考えている. 髄芽腫のバイオマーカーはこれまで多く研究されてきたが, SLFN11は2012年のpan-cancerの大規模解析で初めて見出され, がん種を超えて急速に研究が広がっている, 非常に有望な分子である. 脳腫瘍で初の, in vivo でのSLFN11の機能の検証が本研究の独自性である.
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研究実績の概要 |
髄芽腫の生存率はグループ毎に大きく異なり、再発時の予後は非常に厳しい。Schlafen family member 11(SLFN11)はDNA損傷治療への感受性を規定しており、髄芽腫の予後不良群で発現が低下しているが、再発例でどうかは検討されていない。またSLFN11低発現の腫瘍に対し、セリン/スレオニンキナーゼATR(ataxia telangiectasia and Rad3-related)及びCHK1の阻害薬が有効と報告されているが、脳腫瘍での知見は乏しい。 今回、SLFN11低発現髄芽腫細胞株でATR-CHK1阻害薬の効果を検討した。また再発髄芽腫のモデルとして、放射線耐性株、及びDNA損傷薬シスプラチンの耐性株を作成し、これら耐性株でのSLFN11発現を検討、またATR-CHK1阻害薬が耐性化を解除するか、検討した。 ATR阻害薬Ceralasertib、Elimusertib及びChk1阻害薬PrexasertibはSLFN11低発現髄芽腫D425及びONS76のシスプラチン及びカンプトテシン感受性を高めた。更にシスプラチンとの併用療法はD425小脳腫瘍の増殖を抑制し、マウスの生存期間を延長した。別の患者由来細胞株DAOYにX線3Gy 8回を間欠的に照射し、放射線耐性株を樹立(DAOY-RR)、またシスプラチンを段階的に培地に添加し、シスプラチン耐性株を樹立した(DAOY-CisR)。SLFN11発現はDAOY-RRで6割、DAOY-CisRで3割に減少しており、共に他のDNA損傷薬への交叉耐性も獲得していた。ATR-CHK1阻害薬はシスプラチン耐性を改善したが、カンプトテシン耐性を改善しなかった。SLFN11低発現細胞株及びDAOY-RR、DAOY-CisRへのATR-CHK1阻害薬と放射線の併用療法を現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SLFN11低発現の難治・再発髄芽腫に対するATR-CHK1阻害薬の有効性を示すことに主眼をおいて研究を進めているが、複数モデルの作成にやや難渋した。それぞれのモデルの特性、ATR-CHK1阻害薬の作用発現のメカニズムの検討が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業を活用し200種類の化合物でドラッグスクリーニング、SLFN11(-)で特異的にシスプラチン感受性を上げる薬を探索する。またin vivoの実験をシスプラチン単独群、ATR/Chk1i単独群を含め、再度行い、再現性を確認する。
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