研究課題/領域番号 |
23K15645
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
岡田 健 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90912171)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | くも膜下出血 / グルタミン酸受容体 / グルタミン酸 / 早期脳損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
くも膜下出血は現在でも極めて転帰不良の脳卒中の1つで、近年の研究では早期脳損傷と呼ばれる発症直後より生じる病態が最も重要な転帰不良因子と考えられている。代表的な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸は、くも膜下出血発症直後より脳実質内で増加することが知られている。過剰なグルタミン酸は2次性脳損傷の原因になり得るが、くも膜下出血後早期脳損傷との関係は明らかではない。本研究ではグルタミン酸の代表的な受容体の1つで、速い興奮性神経伝達の大部分を担っている受容体が特殊な分泌型細胞外マトリックス蛋白を介して、早期脳損傷の発生に寄与するか、確立されたマウスくも膜下出血急性期モデルを用いて検討する。
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研究実績の概要 |
マウスに持続脳波ビデオモニタリング用電極を装着し、24時間後にくも膜下出血(SAH)急性期モデルとして確立している血管内穿通法によりsham及びSAHモデルを作成した。モデルは全身麻酔下、手術用顕微鏡を用いてマウスの左内頚動脈先端部をナイロン糸にて血管内より穿通させることにより作成した。モデル作成中は生理学的パラメータを尾より経皮的にモニターし、直腸温は電気マットを使用して約37℃に維持した。Sham群でも同様の手技を行ったが、内頚動脈に挿入したナイロン糸を穿通させずに回収した。まず、モデル作成30分後にランダムに溶媒又は3mg/kgの選択的AMPA受容体阻害薬ぺランパネル(PER)を腹腔内投与し、24時間後に盲検的に生理学的パラメータ、致死率、神経症状、SAHの程度、神経細胞アポトーシス、てんかん性放電やてんかんの重症度及び頻度を評価した。また、マトリセルラー蛋白ペリオスチンを含む関連蛋白の発現変化及び発現細胞をウエスタンブロット法及び免疫染色にて評価した。 Sham群に死亡例はなく、SAH+溶媒群、SAH+PER群のモデル作成後24時間以内の死亡率はそれぞれ27.3%、33.3%であった。生理学的パラメータに群間差はみられず、SAHの重症度は各々のSAH群で同様であった。SAH+溶媒群では24時間後の神経症状、痙攣を伴わないてんかん性放電の頻度、カスパーゼ3の活性化を伴う神経細胞は有意に多く、神経細胞におけるAMPA受容体サブユニットGluA1及びGluA2の活性化、ペリオスチンや炎症性サイトカイン(インターロイキン1β及び 6)の発現増強を伴った。これらの変化は3mg/kg PERにより部分的に抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、くも膜下出血後の脳における神経細胞アポトーシスとAMPA受容体の活性化との関係に関する研究成果が得られつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も基本的に当初の計画通り、実施する予定で、次年度は選択的AMPA受容体拮抗薬により神経細胞アポトーシスが抑制される分子機構の解明を目指す予定である。
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