研究課題/領域番号 |
23K15654
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
秋葉 ちひろ 順天堂大学, 医学部, 助教 (40837754)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | リン酸化タウ / 脳室上衣細胞 / 繊毛運動 / 髄液排泄 / 脳室上衣 / リン酸化タウ蛋白 / アルツハイマー病 |
研究開始時の研究の概要 |
リン酸化タウ(pTau)は神経毒性をもつ脳内蛋白で、アルツハイマー病の根本的治療のターゲット候補として注目されている。神経細胞外に存在するpTauは、髄液排泄により脳室経由での排泄が促進されると推定されるが、その排泄機構の全容は解明されていない。 研究代表者は、脳室上衣細胞の繊毛運動が細胞外蛋白の髄液排泄に寄与する可能性を先行研究で明らかにした。また、認知症の要因とされる加齢や飲酒が、脳室の繊毛運動低下にも関与するとの報告もある。これらの結果を基に本研究では、独自に開発したモデルマウスを用いて、脳室繊毛運動によるpTauの髄液排泄機構を解明し、同機序が認知機能の維持・改善にも寄与することを証明する。
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研究実績の概要 |
リン酸化タウ(pTau)は神経毒性をもつ脳内蛋白で、アルツハイマー病の根本的治療のターゲット候補として注目されている。神経細胞外に存在するpTauは、髄液排泄により脳室経由での排泄が促進されると推定されるが、その排泄機構の全容は解明されていない。 申請者は、脳室上衣細胞の繊毛運動が細胞外蛋白の髄液排泄に寄与する可能性を先行研究で明らかにした。また、認知症の要因とされる加齢や飲酒が、脳室の繊毛運動低下にも関与するとの報告もある。これらの結果を基に、本研究では、申請者らが独自に開発したモデルマウスを用いて、脳室繊毛運動によるpTauの髄液排泄機構を解明し、同機序が認知機能の維持・改善にも寄与することを証明する。 上記の目的のため3つのモデル群を構築し、繊毛運動の低下によるpTauの排泄抑制と、それに伴う記憶障害の惹起を証明すべく、以下の①~⑥の流れで実験を行う。 ①モデルマウスの作製:先行研究で同定したDNAH14遺伝子のノックアウトマウス(DNAH14KO)と、ヒト型タウを脳内に蓄積するP301S変異型ヒトタウトランスジェニックマウス(PS19)を交配し、繊毛運動障害を有するタウ蓄積モデルマウスを作製する。②脳室繊毛運動の評価:ビーズトラッキング法で繊毛運動による髄液の流れを可視化する。③脳内pTau蓄積量および分布の病理学的解析④蛍光標識したpTauの排泄を評価:pTauを蛍光標識したTau-441(2N4R isoform)HiLyte Fluoro488を、モデルマウスの脳実質に定位的に注入し、脳室内髄液中の蛍光量を測定することにより、脳実質から脳室へのpTauの排泄を評価する。同様に、脳室内に注入しき大槽髄液中の蛍光量を測定することにより、脳室から大槽へのpTau排泄を評価する。⑤マルチ電極アレイによる海馬神経細胞の活動電位の測定⑥行動実験
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初想定していた研究計画より遅れている。理由として、第一に初年度において新型コロナウィルス対策として研究室への出入りに制限があり、その遅れを取り戻すに至っていないこと、第二に同時期に抗体・試薬の海外からの搬送に時間を要したこと、第三に、本研究のみならず当研究室における他の研究にも遅延が生じたため、実験助手のサポートも得にくい状況であったこと、第四にモデルマウスの飼育される施設の移動のため、繁殖が制限されたことが挙げられる。しかしながら、研究計画は明確で遂行可能なものであり、遅れながらも現在研究計画に従って実験が進んでいる。今後も本研究を継続し、研究成果を海外雑誌に論文投稿するまでを完遂するための計画を立て直し研究を進行させる。
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今後の研究の推進方策 |
現在モデルマウスの作製を行っており、作製した個体の脳室繊毛運動をビーズトラッキング法を用いて可視化し確認した。安定的に個体が作製できるようになった段階で、脳内pTau蓄積量および分布の病理学的解析を進めていく。脳内のpTau蓄積を確認でき次第、蛍光標識したpTauの排泄を評価、マルチ電極アレイによる海馬神経細胞の活動電位の測定、行動実験を進めていく予定である。
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