研究課題/領域番号 |
23K15664
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横山 欣也 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90867904)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | もやもや病 / マイクロRNA / 次世代シークエンシング / 細胞外小胞 |
研究開始時の研究の概要 |
もやもや病は頭蓋内に限局する動脈の進行性狭窄を特徴とする原因不明の疾患である。細胞外小胞(EVs)は様々な細胞が分泌する小型の膜小胞で、もやもや病の病変部に接する体液である脳脊髄液中にも存在する。EVsに含まれるマイクロRNA(miRNA)は近年、神経難病におけるバイオマーカーや治療標的として注目されている。今研究で我々は、もやもや病患者髄液中のEVsから抽出したmiRNAの網羅的解析により、もやもや病に特異的なmiRNAを特定しその機能を解明することで、もやもや病のバイオマーカー、病因、そして治療標的の発見を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は頭蓋内髄液中のEVsに含まれるmiRNAのうち、もやもや病で特異的に発現変動しているものを次世代シークエンシングによる網羅的解析により特定し、その機能を明らかにすることである。研究実施計画はa) 次世代シークエンシングによる変動miRNAの特定とb) 細胞実験によるmiRNAの機能解析であり、2023年度は前者についての研究を行った。もやもや病患者8例と対照として動脈硬化性脳虚血患者4名から、頭蓋外動脈-頭蓋内動脈吻合術中に頭蓋内の脳脊髄液を採取し検体とした。この検体からEVsを単離、EVsに含まれるmiRNAの抽出を行い、得られたmiRNAからライブラリーを作成し、次世代シークエンサーによるmiRNAシークエンシングを行った。得られたデータはキアゲン社のウェブサイトにアップロードしマッピングを行い、得られたmiRNAのリードカウントデータをもやもや病群と動脈硬化性脳虚血患者群で2群比較を行った。q vavlue<0.05 and | Log2 fold change | > 1 を発現変動miRNAとしたところもやもや病では動脈硬化性脳虚血と比較して153のmiRNAが高発現、98のmiRNAが低発現であった。最もq valueの低い10のmiRNAの内、血管病変との関連の報告がある4個のmiRNAを標的とした定量PCRではNGSと同様の結果が得られ、再現性が確認された。また、251の発現変動遺伝子の標的となるmessenger RNAをデータベース(ENCORI)を用いて検索しGeneOntology解析を行ったところ『cytoplasmic stress granules』 『RNA splicing』 をはじめ20個のGO termが有意であった。これらの結果を論文化し、Acta Neurochirurgica誌に投稿し、採択された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画はa) 次世代シークエンシングによる変動miRNAの特定とb) 細胞実験によるmiRNAの機能解析であり、初年度に前半部分の計画を遂行することが出来たと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は研究実施計画の内、細胞実験によるmiRNAの機能解析を進めて行く。それとともに、EVs中にはmiRNA等の核酸だけでなく、ペプチドも含まれており、細胞間情報伝達に関わっているものと推察される。そこで、これらに対して、質量分析計(LC-MS/MS)による網羅的な解析が可能であると考えており、EVsに内包されるペプチドについて、もやもや病群と動脈硬化性脳虚血群の比較を行う計画である。
|