研究課題/領域番号 |
23K15674
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
川村 海渡 順天堂大学, 医学部, 非常勤助手 (60814895)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脳室線毛 / 水頭症 / 認知症 / 脳内クリアランス |
研究開始時の研究の概要 |
認知症などの高齢者の脳疾患では、脳内で産生された老廃物の蓄積が関連している。この老廃物は脳脊髄液を介し排泄されることから、その詳細な動態が注目されている。脳内では、この脳脊髄液と隣接するように線毛という構造が無数に存在し、統制された鞭運動をしている。この線毛運動が脳内の排泄機構に関与していることが予想されるが、その詳細はあきらかでない。申請者は線毛運動障害を誘発したモデルマウスおよび、アルツハイマー病モデルマウスを作成し、両者を交配したモデルマウスも作成した。このモデルマウスを用いて、認知症の発症における線毛運動障害の関与を解明し、また、新たな治療法を模索する。
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研究実績の概要 |
マウス脳室内から脳槽へのクリアランス評価実験において、当初脳室上衣より吸収され得ないマイクロビーズを用いて実験を行ったが、大槽へ排出されるビーズ量のばらつきが大きく、穿刺部と脈絡叢の位置関係の影響で、脈絡叢にビーズがトラップされデータがばらついている可能性が考えられた。蛍光色素を用いた実験方法において、脳実質も同時に採取することで、吸収された色素量も測定する手法を考案し実験を行った。8週齢の野生型マウスおよびDNAH14ノックアウトマウス側脳室内に蛍光色素を注入した実験により、DNAH14ノックアウトマウスにおいて脳室から脳槽へ排出される色素量が野生型と比較し減少している結果を得た。脳実質内に吸収された色素量の測定においても、穿刺部側においてDNAH14ノックアウトマウスで色素量が少なく、脳室内にも吸収されていないことから、脳室内に残留しているものと考えられた。NiCl2による線毛停止について、過去の文献とは異なる条件での実験のため、マウス線毛運動を停止させるために十分な試薬濃度、量および暴露時間の検討を行った。結果、濃度100mM、量1μlで3分暴露することで線毛運動の停止が確認された。現在線毛停止による色素排泄量を計測中である。 また、令和7年度に予定している若齢および老齢マウスにおける線毛密度の比較についても実験を進めている。電子顕微鏡での観察によって、事前の想定どおり、脳室前方と比較し後方へいくにつれて線毛密度が低下し、また老齢マウスでその傾向が顕著である様子が観察された。この観察結果に定量性をもたせるため、ガンマカテニンによる線毛の蛍光染色を行い、コンフォーカル顕微鏡での観察によって線毛の本数や分布を定量的に評価する実験を追加する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度に予定していた実験結果は概ね得られている。一部結果が得られていない内容もあるが、一方で令和7年度に予定している実験も一部進行できており、総合的には順調に進行していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度では、ひきつづきNiCl2によって線毛運動を停止したマウスでの色素クリアランスの測定を行う。また、当初予定していた、DNAH14ノックアウトマウスとAPPノックインマウスをかけ合わせたマウスの脳組織、髄液採取を行い、アミロイドの蓄積を評価する。同時に、令和7年度に予定している若齢マウスと老齢マウスの比較実験において、蛍光免疫染色の適切な条件検討を同時に進行させる。
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