研究課題/領域番号 |
23K15683
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
村山 雄大 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (10973620)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | CAR-T細胞療法 / 滑膜肉腫 |
研究開始時の研究の概要 |
滑膜肉腫は若年成人に好発する悪性軟部腫瘍であり、手術で完全切除が可能な場合は根治を目指せるが、再発・転移した場合は治療に難渋することが多い。CAR-T細胞療法は白血病・リンパ腫の治療に革新的変化をもたらした、新しい免疫療法であるが、その他の固形がんへの効果は限定的である。その理由として、固形がんにおける標的抗原は不均一な発現パターンを取る場合が多いため、単一の表面抗原を標的としたCAR-T細胞療法では効果に限界があるものと想定されている。本研究では、滑膜肉腫に対する複数抗原を標的としたCAR-T細胞療法の開発に取り組む。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、有効な薬物療法の存在しない滑膜肉腫に対して、新しいキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor:CAR)-T細胞療法を開発することである。申請者はこれまでHER2を標的としたCAR-T細胞およびNKp44受容体リガンドを標的としたCAR-T細胞の滑膜肉腫への抗腫瘍効果を報告している。これらのCAR-T細胞は、いずれも単独の抗原を標的としたものである。しかし、固形腫瘍に対するCAR-T細胞療法は抗原の不均一性に起因する成績不良が報告されている。本研究では、固形腫瘍に対するCAR-T細胞療法の問題を克服するため、2種類以上の抗原を同時に標的とするDual targeting CARを開発することを目的とした。 研究初年度は、まずNKG2D受容体リガンドに対するCAR-T細胞を作成した。このNKG2D-based CAR-Tの単独での滑膜肉腫細部に対する抗腫瘍効果をin vitroで測定したところ、良好な抗腫瘍効果を確認できた。現在、学会での報告を行いながら、in vivoでの実験も準備中である。 次に、NKG2DとHER2を同時に標的とするDual targeting CAR-T細胞を作成した。このCAR-T細胞の作成方法には何通りかの方法があると考えられるが、我々はまず2種類のウイルスベクターを同時にT細胞に遺伝子導入することで、HER2とNKG2Dの両者を標的とするCAR-T細胞を作成した。このDual targeting CAR-Tも滑膜肉腫細胞に対してin vitro実験で良好な抗腫瘍効果を見せたが、まだ安定してCAR-T細胞を生産する段階まで至っておらず、効率的な生産方法を模索中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画で予定している過程は、①NKG2D CAR-T細胞の作成と、滑膜肉腫細胞への抗腫瘍効果の検証、②2種類の表面抗原を同時に標的とするCAR(Dual targeting CAR)の作成、である。このうち第一段階のNKG2D CAR-T細胞の作成は完了しており、既にin vitroでの抗腫瘍効果も確認できているため、初年度の成果としては順調と考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はNKG2D CARを使用した Dual targeting CAR-T細胞を作成する。HER2やNKp44など、これまで当科で報告したCARと組み合わせ、複数パターンのDual targeting CAR-Tを作成し、抗腫瘍効果を比較する。Dual targeting CAR-Tの作成方法として、現在は2種類のウイルスベクターから同時に遺伝子導入する手法を用いているが、1つのウイルスベクターに2種類のCAR遺伝子を搭載する手法も検討し、安定してDual targeting CAR-T細胞を生産できるようにしていく予定である。
|