研究課題/領域番号 |
23K15693
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
原 良太 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (10597107)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 関節リウマチ / 滑膜免疫染色 / プレシジョンメディシン / 滑膜組織 / 分子標的薬 |
研究開始時の研究の概要 |
関節リウマチ治療は飛躍的な進歩をとげたが、多種の分子標的薬の選択方法は診療医の個々の判断に委ねられている。この状況に対し、生物学的製剤毎の滑膜組織におけるサイトカイン発現パターンの解析が進められてきた。また外来レベルで低侵襲な滑膜採取が可能であることと、先行研究において免疫組織学的染色での評価法が確立されたことにより、サイトカイン発現パターンに対応して、適切な生物学的製剤やJAK阻害薬を選択することが可能となったと考えている。本研究課題においては、既存の製剤ごとの免疫染色パターンによる選択法を用いた場合と用いなかった場合との間で前向き研究を実施することにより、本選択法の臨床的有用性を検証する。
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研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)の薬物治療は生物学的製剤の登場によって飛躍的な進歩をとげた。しかし、多種の生物学的製剤やJanus kinase(JAK)阻害薬の分子標的薬は強力な抗炎症効果、関節破壊抑制効果をもつ一方で、一定の割合でnon-responderが存在する。複数の分子標的薬治療に抵抗を示す例は難治性RAの患者要因にも挙げられ、臨床上も医療経済的にみ問題となっている。これらの分子標的薬の選択方法については個々の診療医の判断に委ねられているが、臨床情報に基づく選択には限界がある。この状況に対し、生物学的製剤毎の滑膜組織におけるサイトカイン発現パターンの解析が進められ、製剤間でサイトカインの発現パターンが異なることが報告されてきた。我々は手術検体だけでなく、局所麻酔下に最も腫脹がある関節から超音波ガイド下に低侵襲に採取した炎症性滑膜組織を用いてRNA-seq、免疫染色の結果からフェノタイプ分類を試みている。 また、類似疾患との滑膜組織の免疫学的な相違点を明確にするために、新たに令和5年度よりRAやその類似疾患(変形性関節症、乾癬性関節炎、結晶誘発性関節炎、掌蹠膿疱症性骨関節炎や非結核性抗酸菌症)が病歴、理学初見や画像所見などの臨床情報による鑑別が困難な場合に、同意が得られた患者の罹患関節から滑膜組織収集(手術検体または超音波ガイド下滑膜生検)を実施し、電子カルテより臨床情報(患者基本情報・血液検査情報・疾患活動性評価・身体機能障害評価・画像所見(レントゲン、超音波検査、CT、MRIなど))を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和5年度の目標として①滑膜組織の表現型分類、②患者リクルート、③生滑膜細胞の取得を目標としていたが、滑膜組織のフェノタイプ分類は鋭意分析中ではあるが未達であり、患者リクルート及び生滑膜検体の取得にも遅れが生じている。①の遅れによりプレシジョンメディシン実施が現時点では難しいため進捗状況を遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は収集した生滑膜細胞を用いてシングルセルRNA-seq解析を行い、滑膜炎における三次リンパ構造を中心とした免疫細胞のフェノタイプ分類を進める。また空間的解析システム(PhenoCyclerなど)を使用したフェノタイプ分類における免疫細胞の関係性の解析を予定している。それらの情報と、前向き、後ろ向きに得られた治療情報を解析し、使用薬剤と滑膜フェノタイプ別の差異を調べる
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