研究課題/領域番号 |
23K15695
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
木村 洋朗 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (40627048)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 人工神経 / 末梢神経再生 / 神経損傷 / 再生医療 / 神経麻痺 |
研究開始時の研究の概要 |
自家神経移植に代わる優れた人工神経の開発を目指して、今回われわれは無菌製法によるフィブロインに着目した。本研究では、独自の製法から生体吸収性・親和性、強度を保ちながら神経再生に有用なフィブロインチューブを作成し、 in vitro解析およびラット坐骨神経広範囲欠損モデル対するin vivo移植実験を行う。比較対照群と運動機能評価や組織学的評価を行うことにより、最適なフィブロインチューブの組成や形状を決定する。そして、既存の人工神経を上回り自家神経移植に匹敵する末梢神経再生効果を示すことを証明し、臨床応用を目指す。
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研究実績の概要 |
カイコが産生する天然シルク由来のタンパク質であるシルクフィブロインは高い生体親和性を有し、生体材料としての応用が期待されるが、人工神経としての製法はいまだに確立していない。我々は今回、医療グレード無菌シルクフィブロインを用いて、凍結融解を用いた新規製法により作製した生体吸収性のシルクフィブロイン人工神経を開発した。本研究ではシルクフィブロイン人工神経の移植実験における末梢神経再生効果を明らかにする。 まずin vitro実験として異なる濃度のシルクフィブロイン人工神経を作製した上で物性を評価した。その中で最も有用と考えられたシルクフィブロイン人工神経を用い、in vivo実験として野生型ラットの左坐骨神経15mm欠損モデルに対して、シルクフィブロイン人工神経移植群、シリコンチューブ移植群(各n=10)を作成し、移植後12週における種々の運動機能評価、電気生理学的評価、および組織学的評価を行った。 8%シルクフィブロイン人工神経は、ラット移植後12週の時点まで管腔構造を維持していたが、3%、5%濃度のシルクフィブロイン人工神経は12週の時点で溶解あるいは管腔構造の破綻を認めた。一方、8%を上回る濃度のシルクフィブロイン人工神経は作成が困難であった。また、シルクフィブロイン人工神経群は全ての評価項目でシリコンチューブ移植群より有意な回復を認めた。 われわれが作成したシルクフィブロイン人工神経の中で8%シルクフィブロイン人工神経が高い含水性と構造安定性を有し、人工神経として最適であると判断された。また、8%シルクフィブロイン人工神経の移植により、機能的・組織学的に良好な末梢神経再生効果を認めた。本人工神経の特徴的な物性が成長栄養因子の流入や管腔構造維持に寄与した可能性が現時点で考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね、当初の研究計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
作成したシルクフィブロイン人工神経が自家神経移植と比較して組織的、機能的回復を示すか検証する。また、シルクフィブロイン人工神経がどのような機序で神経再生を促進することができたか、その詳細な検討を行う。具体的には、シルクフィブロイン人工神経の物性として含水率や多孔率、圧縮応力を解析する。そして、成長栄養因子や血管新生、マクロファージ遊走など末梢神経再生機構に有利と考えらえる要素の解析を行う。
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