研究課題/領域番号 |
23K15704
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 英之 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (30964598)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 関節リウマチ / CCN3 / 細胞老化 / 破骨細胞分化 |
研究開始時の研究の概要 |
関節リウマチは、生物学的製剤の登場により寛解率が飛躍的に上昇した。しかし進行性の関節破壊を抑制することは未だ困難な課題である。今後の関節リウマチ治療には、慢性炎症を抑え、かつ骨破壊の進行も抑制する新規薬剤が求められている。患者血清および滑膜組織の解析により、CCN3が免疫細胞における細胞老化と、破骨細胞誘導因子(RANKL)非依存的に骨破壊に関連している可能性を見出した。本研究の目的は、骨免疫学的解析と分子生物学的な解析を行い、関節リウマチ特異的な骨破壊抑制および慢性炎症の寛解を同時にもたらす、革新的な治療法の開発を目指すものである。
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研究実績の概要 |
CCN3はCCNファミリータンパクに属する因子であり、様々な炎症性疾患や悪性腫瘍の転移に関与する。近年、血清CCN3濃度が関節リウマチ (RA)の病勢と相関するという報告がなされたが、現在に至るまでCCN3のRAにおける作用機序は不明である。 ヒトRA滑膜においてCCN3に対する免疫組織化学染色を行った。In vitro評価として、ヒトマクロファージを用いた破骨細胞分化アッセイと骨吸収アッセイを用いることで、CCN3の破骨細胞発現と骨吸収能を評価した。In vivo評価としてマウス頭蓋骨骨吸収モデルを用いて、CCN3が骨吸収に及ぼす影響を定量的に評価した。また、抗コラーゲン抗体関節炎(CAIA)モデルを用いて、抗CCN3抗体による治療効果を検討した。CCN3の破骨細胞と滑膜細胞への影響の解析として、RNAシークエンスによる網羅的遺伝子発現解析を行った。解析結果の検証は、qRT-PCRとウェスタンブロッティング法を用いて行った。 ヒトRA滑膜に対する免疫組織化学染色でCCN3を同定した。破骨細胞分化アッセイにおいてCCN3は有意に破骨細胞分化を誘導した。In vivo評価においてもコントロール群と比較してCCN3投与群で有意に骨吸収量が高い結果となった。CAIAモデルにおいて抗CCN3抗体は関節炎スコアを有意に低下させた。ヒトマクロファージの網羅的遺伝子発現解析では、細胞老化と破骨細胞分化、細胞接着に関与する遺伝子発現が有意に上昇した。滑膜細胞の解析では、細胞老化に関与するタームが有意に上昇した。 本研究結果から、CCN3がマクロファージや滑膜細胞に作用することで細胞老化や破骨細胞分化、骨吸収や炎症を引き起こす可能性が示唆された。網羅的遺伝子発現解析結果からは、CCN3が破骨細胞の骨格形成や、マクロファージと滑膜細胞の細胞老化に関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CAIAモデルマウスでの実験について、仮説通りの結果を得られている。追加の結果を待っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現在の結果を補完するデータを集める検証を進めていく予定である。 リウマチにおける関節内の炎症、細胞老化の進行に関してのCCN3の重要性を評価する。また、CCN3活性化に関与する経路を検証し、リウマチ治療における、CCN3とそのシグナル経路をブロックすることによる関節保護作用を確認する。
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