研究課題/領域番号 |
23K15706
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
向井 務晃 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40907698)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | iPS細胞 / 血小板 / 巨核球 / 骨再生 / 骨癒合 / 多血小板血漿 / PRP / MSC |
研究開始時の研究の概要 |
PRPは骨癒合や難治性潰瘍治療など組織修復効果があるが、効果の多様性不均一性が課題で、科学的定量データ並びに分子機構も明らかになっていない。そこで、自家PRPに代わる同種製剤としてiPS細胞由来巨核球・血小板製剤を用いた、骨再生標準化治療を達成するための基盤を構築する。 本提案では、iPMのエフェクターが間葉系幹細胞である、という予備データを基に、iPS-MK/Plts投与により、MSCから優先的に骨形成が成され、損傷骨の修復が促進される分子機構 を明らかにする。これを基に標準治療として成立させるための最適な製剤規格(巨核球/血小板比率)とMSCのサポート細胞を決定し、同種ユニバーサル製剤の開発に貢献する。
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研究実績の概要 |
多血小板血漿(PRP)の問題点を克服するため、その代替として、iPS細胞由来巨核球・血小板製剤(iMP)の開発を行っている。先行研究でラットの腰椎癒合モデルを用いて、骨形成促進効果を報告したが、その機序は不明であった。本研究では機序の解明が目的である。 ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(bMSC)から成熟骨芽細胞への誘導を定量できるin vitroの系を構築し、以下の4項目の検証を行った。 1)iMP、BMP2によるMSC増殖能・遊走能・分化能の検証:コントロール群、iMP投与群、BMP2投与群を作成し、増殖条件でbMSC細胞数をFACSで定量し、transwell assayにて遊走細胞を定量した。結果iMP投与群のみ、bMSCの細胞増殖、遊走が有意に亢進した。また分化条件でqPCRにて成熟骨芽細胞マーカーの定量とAlizarin red染色を施行した。qPCRにてBMP2投与群のみ、有意に成熟骨芽細胞マーカーが高値であったが、Alizarin red染色では有意差を認めなかった。2)RNAシークエンス:上記増殖条件3群、分化条件3群の計6群でのMSCの詳細な遺伝子解析を行い、1)を裏付ける結果が得られた。3) iPM含有サイトカインのサイトカインアレイによる定量:iMP製剤に含有濃度の高い6種のサイトカインを同定した。4)リコンビナントサイトカイン投与によるMSC増殖能の検証:3)の結果を参考に、iMPに高濃度で含有されるサイトカインをMSCに単独・複合投与し、iMPによるMSC増殖促進効果の再現されるか検証した。結果、リコンビナントサイトカインをMSCに投与したが、iMPと同等のMSC増殖効果は再現できなかった。 iPM製剤とrBMP2製剤では骨形成促進効果の機序が異なることが示された。またiPM製剤の骨形成促進効果はiPM含有サイトカインに非依存的な経路の存在が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように単培養の実験系で、iMP製剤とrBMP2製剤のbMSCに対する作用機序の相違点を確認し、RNAシークエンス、リコンビナントサイトカインの添加実験にて、有用なデータを得られた。
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今後の研究の推進方策 |
研究結果よりiMP製剤の骨形成促進効果はbMSCの増殖促進効果を介していると考えられた。次にiMP製剤のbMSC増殖因子とその機序の検証が必要であり、今年度は増殖因子とその下流の経路を探索する。 また上述のように、骨癒合・骨形成に関わる他の細胞との共培養系を用いた骨形成促進機序の検証も進める。
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