研究課題/領域番号 |
23K15709
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高田 亮平 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座講師 (10845382)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 模擬骨盤モデル / スマートフォン / AR / 人工股関節 / ナビゲーション / 成績改善 |
研究開始時の研究の概要 |
人工股関節インプラントの耐用性が最大限発揮されるためには、インプラントが正確なアライメントで設置されることが必要不可欠であることが明らかとなってきた。そのため正確なインプラント設置を目指すべく、様々な手術ナビゲーションシステムが開発されている。しかし、多くのナビゲーションシステムが正確なインプラント設置に有用であることが広く明らかとなっているにも関わらず、現在使用されるナビゲーションの多くは高価であり手術侵襲が増えることから、本邦での使用率はわずか14.1%にとどまっている。我々はこの問題を解決すべく、スマートフォンを用いて安価かつ世界で初めて侵襲を伴わないナビゲーションの開発に着手する。
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研究実績の概要 |
人工股関節インプラントの耐用性が最大限発揮されるためには、インプラントが正確なアライメントで設置されることが必要不可欠であることが、我々の研究からも明らかとなってきた。そのため近年、正確なインプラント設置を目指すべく、様々な手術ナビゲーションシステムが開発されている。しかし、多くのナビゲーションシステムが正確なインプラント設置に有用であることが広く明らかとなっているにも関わらず、現在人工股関節に使用されるナビゲーションの多くは高価であること、手術侵襲が増えることなどから、本邦での使用率は極めて少ない状況であった。 現在使用可能なナビゲーションシステムは高額なものでは1億円を超えること、通常手術よりも手術侵襲が高くなることが挙げられる。多くのナビゲーションシステムは手術中の骨盤の動きを追跡するため、腸骨壁にマーカー等を装着する必要がある が、今回申請者らは、インプラント設置直前に骨盤の位置を認識できれば、理論上マーカー装着の侵襲は不要であることを着想した。さらに、既に流通しているスマートフォンを用いることで、実用化に至った際のコストを抑えることが可能と考えた。この新しいナビゲーションシステムの実用化に至るには、まず模擬環境での精度検証が必須である。 申請者らは本研究において、日常に流通するスマートフォンを用いて安価かつ世界で初めて侵襲を伴わないナビゲーションシステムの開発に着手を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請者らは人工股関節のための侵襲を伴わないナビゲーションシステムの開発に着手し、開発を継続している。特殊マーカーの位置情報をAR技術によりスマートフォンが認識する機能を応用して、手術中の骨盤の位置・傾きをスマートフォンに認識させることで、インプラント把持機に装着したスマートフォンにインプラントの設置位置・角度を表示させることができるシステムをすでに確立した。骨盤の特徴点を想定した検証治具を使用し、簡易的に作成したマーカーおよびプログラミングされたスマートフォンを用いて精度検証を行った。既に販売されている他社のポータブルナビゲーションシステムとの精度比較も行なった。評価には工学部博士等の第3者も含めて行い、適宜プログラミングの修正、マーカー構造の修正等を行った。模擬骨盤モデルでの検証は大半を終えることができ、データ解析も一部を除き終了している。ナビゲーション機能の一部分に関してはすでに薬事承認され、臨床現場で活用が開始されている。
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今後の研究の推進方策 |
実際の臨床現場で活用できるレベルまで到達できたことは計画当初よりも研究の推進が早いことを意味しており、今後も積極的に研究活動を続けていきたい。具体的には、現在薬事承認された機能は目標とするナビゲーション機能の一部であることから、すべてのナビゲーション機能が臨床現場に活用されるようになることが最終的な目標となる。したがって、まだ臨床活用に至っていないナビゲーション機能に関して模擬骨盤モデルを用いた精度検証を進めるとともに、工学的検知から改善の余地がある点を探っていくことを計画している。また、これらのデータに関しての英文による公表にむけての執筆活動もすでに開始しており、一編の論文を現在投稿中である。先にあげた全機能をそなえたナビゲーションが開発され、その精度に関するデータがそろった際には、さらに英文による公表にむけての執筆活動を行う予定である。また将来的には実際の臨床現場での検証結果に関する結果の公表も見据えているところである。
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