研究課題/領域番号 |
23K15722
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
太地 良 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (60838853)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / パッチクランプ / メソトレキサート / 脊髄後角 |
研究開始時の研究の概要 |
ホールセルパッチクランプ法をラットの腰部脊髄後角細胞に適用し、MTXの脊髄内シナプス伝達に対する作用機序を電気生理学に解析し、その分子メカニズムを解明する。次に神経障害性疼痛モデルラットを用いて実際の中枢性感作状態の脊髄内におけるMTXの作用を解析する。最後に神経障害性疼痛モデルラットにMTXを投与し、VonFrey test、CatWalkによる疼痛抑制作用の解析を行う。
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研究実績の概要 |
Sprague-Dawley系雄性ラットの腰仙レベル脊髄スライスを用いて、脊髄後角膠様質ニューロンからホールセルパッチクランプ法で細胞膜電流を記録し、Methotrexate(MTX)が脊髄後角にもたらす作用を記録、解析した。300µMのMTXを潅流適用したところ、約40%のニューロンで5 pA以上の外向き電流が観察され、その振幅の平均値は7.76±0.77 pAであった。この外向き電流は、同一ニューロンに対してMTXを2回繰り返して適用した場合にも同様に出現し、再現性のある現象であった。自発性興奮性シナプス後電流(spontaneous excitatory postsynaptic current: sEPSC)の解析では、MTXの適用によりsEPSCの出現頻度は2.57±0.75 Hzから1.49±0.60 Hzに低下し、統計学的な有意差を認めた(p < 0.05)。一方sEPSCの振幅は、MTXの適用前後で変化を認めなかった。これらのことから、MTXが脊髄後角においてシナプス前性に作用し、グルタミン作動性ニューロンからのグルタミン酸の放出頻度を低下させる作用、並びに膠様質ニューロンを過分極させる作用を有することが確認された。この結果は、MTXが脊髄レベルで疼痛の伝達に対して抑制的に作用する可能性を示唆している。今後詳細な作用機序を調べるため、Naチャネル阻害薬のテトロドトキシンや、グルタミン酸受容体の拮抗薬、Gタンパク阻害薬のGDP-βSやKチャネル阻害薬のバリウムイオンを適用した状態での膜電流変化の解析を予定している。また神経障害性疼痛モデルラットに対して本研究手法を適用すること、in-vivoでの実験を行うことで、神経障害性疼痛への抑制効果の解析も検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
和歌山県立医科大学整形外科学講座研究室にてラット脊髄スライスにwhole cell patch-clampを適応し、細胞膜電柱の記録を取ることができている。基礎研究に当てる時間は限られているが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って、2024年度分に関しての研究を遂行する予定である。
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