研究課題/領域番号 |
23K15766
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
西山 めぐみ 佐賀大学, 医学部, 助教 (00802844)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 腎尿細管 / 上皮細胞 / 間葉性細胞 / 線維芽細胞 / 細胞間相互作用 / 流体刺激 / 嚢胞形成 / 嚢胞性腎疾患 / 細胞極性 |
研究開始時の研究の概要 |
嚢胞性腎疾患は尿細管上皮細胞の異常な増殖、極性異常により尿細管が嚢胞を形成する。嚢胞形成のメカニズムには未だ不明なことが多い。研究代表者は独自の培養系を構築し、流体刺激を受けた尿細管上皮細胞では極性の乱れ、増殖亢進、上皮間葉転換が生じることを見出した。線維芽細胞と共培養した場合、流体刺激に起因する尿細管上皮細胞の病的挙動は軽減し、細胞極性が保たれた。以上の知見より、異常な流体刺激は嚢胞形成の原因となり、線維芽細胞は尿細管上皮細胞の病的挙動を抑制するとの着想を得た。本研究は独自の培養モデルを用いて流体刺激と細胞間相互作用が尿細管上皮細胞の嚢胞形成に関わる因子の同定に挑戦する。
|
研究実績の概要 |
本研究は流体刺激や細胞間相互作用が尿細管上皮細胞の極性、増殖、上皮間葉転換に与える影響の解析を通じ、尿細管上皮の恒常性維持機構およびその破綻としての嚢胞形成メカニズムの解明を目的とする。令和5年度はin vitroで 嚢胞性腎疾患を再現しうる細胞培養モデルの構築を行った。第一段階として、ゲル化したコラーゲン担体の表層で尿細管上皮細胞の単独培養を行い、ゲル中に線維芽細胞を埋めた共培養群と比較するとともに、静置条件と流体刺激条件を組み合わせた。実験結果の普遍性を検証するため細胞株は複数種を組み合わせて用いた。尿細管上皮細胞株としてイヌ由来MDCK、ヒト由来HK-2、ブタ由来LCC-PK1を用い、LCC-PK1で同様の結果を得た。一方、入手したHK-2細胞株は育成に難渋しており遅延した状況である。線維芽細胞株としてマウス由来NIH/3T3、ヒト由来MRC-5を用いることを計画しており線維芽細胞株の入手は今後行う。培養担体に用いるコラーゲンゲル内に微小流路を作成し、その中に尿細管上皮細胞を播種する試みは途上であり今後も手法の改良に努める。尿細管上皮細胞はゲル中に埋めた状態で培養すると自己組織化し微小な嚢胞構造を形成ことが知られている。この性質を利用し、微小流路作成と並行して、微小嚢胞形成が共培養や流体刺激下で見せる細胞動態の違いについても評価を行い、考察を深めた。培養して得た標本は、形態解析に加えて、細胞増殖や細胞極性、細胞間接着に関する蛋白質を標的として免疫組織化学的手法により染色を行い、標的蛋白質の局在や多寡を解析した。その結果、各条件下では増殖能、細胞間接着、極性に関与する分子の発現に違いが見られることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画した、培養担体となるゲル中に微小流路を作製するにあたり管腔径の検討に時間を要した点、また流路の開存を保つうえで手法の改良が必要となり改善の途上であるため。
|
今後の研究の推進方策 |
尿細管上皮細胞の嚢胞性腎疾患培養モデルの確立のため令和6年度も継続して改良を試みる。また、各条件下での細胞動態の違いについて、増殖、細胞極性、細胞間接着に関し本年度で得られた結果を元に、嚢胞形成の促進因子、抑制因子の検索を継続する。
|