研究課題/領域番号 |
23K15778
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
南雲 義之 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00899122)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 膀胱癌 / がん免疫微小環境 / 脂質代謝 / イメージング質量顕微鏡 / 疲弊化T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
筋層非浸潤性膀胱癌の臨床上の問題は、膀胱内再発および免疫療法であるBCG療法への耐性である。この耐性機序として疲弊化T細胞の存在が知られているが、発がん初期における疲弊化の機序は明らかとなっていない。一方、がん免疫微小環境では細胞の分化やダイナミックな環境変化に適応するために、免疫細胞における脂質代謝を介した機能制御が重要な役割を果たしている。そこで、本研究ではマウス膀胱発がんモデルおよびイメージング質量顕微鏡を用いた、疲弊化T細胞の経時的モニタリングとがん免疫微小環境内の脂質構成空間プロファイリングを行い、膀胱発がん過程におけるがん免疫微小環境と脂質代謝のクロストークを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究テーマである、膀胱発がん過程におけるがん免疫微小環境と脂質代謝のクロストークを明らかにするために、令和5年度はマウス膀胱発がんモデルを用いたがん免疫微小環境における疲弊化T細胞の検討を開始した。 6-8週齢の野生型マウスに0.025%BBNを自由飲水させ、病理学的な膀胱腫瘍の形成前である飲水開始後4週、8週時、さらに腫瘍形成期の12週時において全膀胱を摘出した。疲弊化T細胞をターゲットとして解析する前に、まず全膀胱における腫瘍浸潤リンパ球全体のフローサイトメトリーを行った。N=1サンプルでは細胞数が比較的少ないため、さらに疲弊化マーカーを発現する細胞をターゲットとする場合は、各ポイントにおいて複数サンプルを合わせて解析する必要性が明らかとなった。 上記のフローサイトメトリーを用いた疲弊化T細胞の検討と並行して、NR4Aの転写活性制御により、がん免疫微小環境におけるT細胞疲弊化の抑制がみられるか検討を行った。具体的には上記マウスモデルにおいてNR4A転写活性阻害薬としてCPT-11(イリノテカン)、SC-236(COX-2阻害剤)を腹腔内投与し、経時的に全膀胱を摘出した後に、Total RNAを抽出した。qRT-PCRにてT細胞疲弊化にかかわる免疫チェックポイント分子のmRNA発現レベルを検討したところ、コントロール群と比較して、阻害薬投与群においてTim3やCtla4の有意な発現レベル低下を認めた。一方、NR4Aに関してはNr4a2およびNr4a3の有意な発現レベルの低下を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス膀胱発がんモデルを用いたがん免疫微小環境における疲弊化T細胞の初期検討において、特に飲水開始早期(4週、8週)の全膀胱サンプルに含まれる腫瘍浸潤リンパ球が少なく、疲弊化マーカーを発現するターゲットの細胞はさらに少数であることが明らかとなった。そのため、複数の新鮮サンプルを一度にフローサイトメトリーで解析する必要があり、サンプル準備に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施したマウス膀胱発がんモデルを用いたがん免疫微小環境における疲弊化T細胞の検討を、改めて複数サンプルを用いたフローサイトメトリーにて検討を行うとともに、同モデルを用いたがん免疫微小環境における脂質代謝の時空間プロファイリングもあわせて行っていく。 疲弊化T細胞と脂質代謝クロストークの解明に関しては、すでにNR4A転写活性阻害薬を用いたモデルにおける全膀胱からTotal RNAを摘出しているため、RNA-seqによりコントロール群と治療群間における発現変動遺伝子を用いたパスウェイ解析や上流・下流分子解析を行い、疲弊化T細胞と脂質代謝クロストークの背景にある分子機構を明らかにする。
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