研究課題/領域番号 |
23K15789
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
太田 裕也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20814255)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 脳梗塞 / 神経因性膀胱 / P2X3受容体 / Photothrombosis / 過活動膀胱 |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞の約半数に頻尿などの過活動膀胱が生じる。頻尿に対する既存の薬物治療の効果は不十分である。そこで私たちは致死率の低いphotothrombosis過活動膀胱モデルラットを応用して、新たな治療薬を確立する考えに至った。 現在、過活動膀胱治療の新たなターゲットとして膀胱知覚神経のC線維に発現するP2X3受容体が注目されている。侵害受容器であるC線維を介した薬物治療は呼吸器科学分野ではすでに臨床応用されている。しかし、脳梗塞による過活動膀胱モデルにおけるP2X3受容体拮抗薬の有効性については報告がない。Photothrombosisモデルの利点を活かし、過活動膀胱でのP2X3受容体の機能解明と新規治療法の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
Photothrombosisを応用した過活動膀胱ラットの作成を行った。11週齢のWistar-ST系雌性ラットを用いて、イソフルラン吸入麻酔下に頭部を定位脳固定台に固定。頭皮を2.0cm正中切開し、冠状線・矢状縫合線の中心点であるbregmaを同定。8mm径光源をbregmaから1mm前方で固定し、Rose bengal(30 mg/kg, 330000-1G; Sigma-Aldrich, St.Louis, MO, USA)を尾静注。560nm波長ハロゲンレーザを光源に接続し30分間照射して脳梗塞ラットを作成した。 続いて、P2X3受容体拮抗薬投与での尿流動態測定を行った。P2X3受容体拮抗薬であるAF-353を投与するP2X3群と、生食を投与するcontrol群それぞれにおいて、脳梗塞作成前、作成後1日目、7日目、14日目で以下の方法で膀胱機能を評価した。イソフルラン吸入麻酔下に大腿静脈に薬物投与用カニューレを留置した。腹部を切開し、膀胱頂部に外径1mmのPE50カテーテルを留置した。麻酔覚醒3時間後に薬物を投与した。拘束下で膀胱に留置したカテーテルから100μL/分で生食を持続注入しカテーテルに接続した圧トランスデューサーで膀胱内圧を120分測定した。保定器の下にシャーレを置いた電子天秤を設置し、尿の落下量をソフトウェアで記録した。評価項目として膀胱内圧パラメータ(排尿直後の基準値圧、排尿直前の閾値圧、排尿時の最大圧)、排尿記録(排尿間隔、1回排尿量)を測定した。 P2X3受容体拮抗薬投与群ではcontrol群と比較し、脳梗塞作成後1日目、7日目において排尿間隔の延長を確認した。また、1回排尿量も増加した。しかし、14日目では差を認めなかった。基準値圧、閾値圧、排尿時の最大圧は脳梗塞作成前後で2群間で差を認めなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は分子生物学的解析としてATPとP2X3受容体の発現量を定量的に評価する。ラット膀胱を摘出し、上皮を含む膀胱全層および尿道を剥離した平滑筋標本を作成し、マグヌス管内で懸垂する。マグヌス管内に放出されたATP量をルシフェリン・ルシフェラーゼ分析法を用いて測定する。また、膀胱を粘膜と筋層に分け、P2X3受容体の蛋白質とmRNAの発現についてウエスタンブロット法、免疫蛍光染色法およびRT-PCR法を用いて検討する
|