研究課題/領域番号 |
23K15797
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
梨本 沙織 (矢野沙織) 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (00779548)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | つわり / 妊娠 / 脳 / マウス |
研究開始時の研究の概要 |
つわりは多くの妊婦のQOLを低下させ、女性の活躍・少子化問題克服を妨げる一因となっている。つわりを引き起こす要因の候補として複数の因子が挙げられているものの、妊婦での介入研究が難しいことから、つわりとの因果関係が明らかにされた因子は今もなく、つわりが起こる機序は今も不明である。 本研究ではマウスをつわり機序研究のためのモデル動物として用い、つわり増悪因子と目されているGDF15(成長分化因子15)とhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の相互作用とつわり様症状との因果関係を検証する。続いて、神経活性評価と脳機能操作により作用脳部位・神経群の特定を試みる。
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研究実績の概要 |
つわりは多くの妊婦のQOLを低下させ、女性の活躍・少子化問題克服を妨げる一因ともなっているが、つわりを引き起こす要因は今も明らかにされていない。本研究では、マウスをつわり機序研究のためのモデル動物として用い、つわり増悪因子と目されるGDF15とhCG及びその相互作用とつわり様症状との因果関係を検証している。 本年度は、マウスにGDF15・hCGを単独または混合投与した際の摂食量・活動度を測定し、GDF15及びhCGがつわり様症状を引き起こすか検証した。その結果、GDF15単独投与は摂食・活動度を低下させた一方、hCGは活動度のみを低下させ摂食量には影響を及ぼさなかった。hCGは古典的につわりを引き起こす要因として考えられていたものの、マウスにおいて悪心・食欲不振といった主要なつわり様症状を引き起こさず、倦怠感等の症状に関与する可能性が示唆された。また、卵巣摘出マウスを使用した行動解析により、hCG単独投与による活動抑制効果が卵巣非依存性であることを確認した。さらに、神経活性マーカーc-Fosの免疫染色や微小脳部位切除術を施したマウスを使用した行動解析を通じて、hCG単独投与による活動抑制が延髄最後野・孤束核非依存性であることを明らかにした。以上の研究成果を論文として発表準備中である。 また、GDF15とhCGの混合投与により活動抑制効果が増強された。卵巣摘出マウスを用いた行動解析結果から、hCGによるGDF15の作用増強効果には卵巣より分泌される性ホルモンの関与が疑われたため、現在検証のための追加実験を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GDF15およびhCGのマウスへの投与によるつわり様症状との関連を明らかにし、関連する脳部位の探索を進めることができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
hCGの単独作用においては、延髄最後野・孤束核以外の脳部位の神経活性の評価を進め、変化の認められる部位を損傷させることで寄与する脳部位を特定する。また、hCGによるGDF15作用増強効果に性ホルモンの関与が疑われたため、性ホルモン投与・拮抗薬投与下での行動解析を通じて関連する性ホルモンの特定を試みる。
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