研究課題/領域番号 |
23K15840
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
後藤 香里 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10866403)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 着床関連遺伝子 / 子宮内膜細胞 / 胚移植時子宮内膜 / 妊娠 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、体外受精をはじめとした生殖補助医療は目覚しい発展を遂げているが、その妊娠率は必ずしも満足できる成績ではない。妊娠率の低い原因は、主に卵子の染色体異常に起因すると言われているが、最近になって子宮内膜の要因も注目されている。本研究では、(1)子宮内膜における着床期の着床関連分子発現の解析、(2)着床関連分子の発現動態における妊娠不成功の原因解明、(3)(2)の結果を基に胚受容能を得るための黄体補充方法の検討、について子宮内膜に発現するmRNAおよび胚移植周期の背景や使用薬剤等を解析することにより検討する。その結果により、着床および妊娠率向上のための新たな黄体管理法の開発等を目指す。
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研究実績の概要 |
【目的】胚移植時に採取された子宮内膜細胞において、プロゲステロン受容体(PR)、Homeobox A10 (HOXA-10)のmRNA発現が高い場合、妊娠率は低下することを以前報告した(Reprod Sci.2021) 。今回、これら遺伝子の発現に影響を与える因子について検討した。 【方法】2019年10月~2023年5月に凍結融解胚移植(HRT周期)を施行した71周期を対象とした。胚移植までに黄体ホルモンは5日間処方した。胚移植後にカテーテルに付着した細胞を採取しエストロゲン受容体(ER)、PRおよびH0XA10 mRNA発現をRT-quantitative-real-time PCRにて検討し、患者年齢、移植時内膜厚、黄体補充開始時エストラジオール(E2)濃度、胚移植後カテーテルの血液付着有無との関係について検討した。 【結果】年齢においては30歳未満のmRNA発現を1としたところ、30-39歳群でER、PRおよびH0XA10 mRNAは各々2.5倍、3.6倍、3.4倍であり、40歳以上は2.7倍、3.8倍、2.9倍の発現量であった。胚移植時内膜厚は10mm以上の発現を1とした場合10mm未満では各々1.7倍、2.9倍、3.3倍であった。黄体補充開始時E2濃度は、E2 100 pg/ml以上のmRNA発現を1として100 pg/ml 未満と比較し、各々1.5倍、2.0倍、2.0倍であった。胚移植後カテーテルの血液付着無しを1とした場合、付着ありでは3.7倍、4.4倍、5.2倍と有意に高い発現量であった。 【結論】PR、H0XA-10の発現が高くなる傾向を示したのは患者年齢が40歳以上および移植時内膜厚が10㎜未満、黄体補充開始時E2濃度が100 pg/ml未満であり、胚移植後のカテーテルに血液が付着した場合には有意に発現量は高くなった。患者年齢が高い場合や薄い内膜厚、黄体補充開始時E2濃度が100 pg/ml未満およびカテーテルへ血液が付着する場合は着床に不適な着床環境であることが推測される。今後は妊娠率の向上のため、発現遺伝子プロファイルから子宮内膜の最適な黄体管理および胚移植時期を検討する必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
出産後により、研究、解析時間の確保困難によりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今回の検討により、妊娠と関係する遺伝子の発現に影響を与える因子を検討することができた。今後はこれらの因子に影響を与える遺伝子を、RNAアレイやRNAシーケンスを用いて網羅的に検討し詳細に検討していく。
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