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母体血から高品質の胎児由来有核赤血球を選別するための1細胞マルチオミックス解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K15853
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分56040:産婦人科学関連
研究機関国立研究開発法人国立成育医療研究センター

研究代表者

伊東 紀子  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, メディカルゲノムセンター, 研究員 (60574324)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードNIPT / シングルセル / マルチオミックス解析 / 胎児有核赤血球
研究開始時の研究の概要

現在世界中で母体血のセルフリーDNAを標的とした出生前遺伝学的検査が実施されている。それ以前から胎児細胞を標的とした研究が行われてきたが未だSNV解析診断が可能な解像度には至っていない。
先行研究において胎児有核赤血球を標的とし、1細胞全ゲノム解析により胎児ゲノムDNAの検出に成功した。しかし脱核またはアポトーシス過程にあるためデータの質に課題があった。解決に向け1細胞からDNAとmRNAを分けてシーケンスを行い、発現解析の情報から質の良い胎児由来有核赤血球を選別する手法を開発する。細胞種や母と児の識別、有核赤血球の細胞成熟度によるDNA損傷予測を行い、検査項目の増加や判定率向上を目指す。

研究実績の概要

「成熟初期段階にある有核赤血球(NRBC)のゲノムDNAは高品質である」という仮説を元にNRBCが多く含まれている臍帯血から4検体を使用し、1細胞マルチオミックス解析G&T-seqを実施した。
臍帯血1検体から12個の1細胞リンパ球と4検体から165個の1細胞NRBC候補細胞を単離し、それぞれのトランスクリプトームおよびゲノムDNAデータを取得した。
リンパ球とNRBC候補細胞ではcDNA増幅後で異なるサイズ分布を示し、高発現遺伝子に顕著な差が見られることから識別可能であることが示唆された。また多次元尺度構成法(MDS:Multi-Dimensional Scaling)を使用したプロット図より、リンパ球クラスターとNRBCクラスターの中間に位置する5細胞が取得された。成熟初期段階で高発現を認めることで知られている遺伝子で発現が確認されたことから、その5細胞は成熟初期段階のNRBCであると推測された。ゲノムデータを調べるとそのうち2細胞ではリンパ球細胞に匹敵する高いライブラリー収量とマッピング率を示し、ダメージを受けていない高品質のゲノムDNAであることが示唆された。
仮説のとおり、成熟初期段階のNRBCは高品質のゲノムDNAを維持している可能性が高く、我々は臍帯血を用いて実験・解析のワークフローを確立した。
今後母体血を用いて同様の検証をし、将来的に1細胞マルチオミックス解析を適用することで、胎児NRBCベースのNIPTの開発が促進され将来的にNIPTの診断項目が増加し、判定率が向上することが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

始めにNRBCが多く含まれている臍帯血から2検体を使用し、1細胞マルチオミックス解析G&T-seqを実施した。
その結果について海外の学会American Society of Human Genetics 2023にてポスター発表を行った。
その後臍帯血2検体を追加し、最終的に臍帯血1検体から12個の1細胞リンパ球と4検体から165個の1細胞NRBC候補細胞を単離し、それぞれのトランスクリプトームおよびゲノムDNAデータを取得した。トランスクリプトームデータより、成熟初期段階のNRBCと推測された5細胞が取得され、ゲノムデータより、そのうちの2細胞はダメージを受けていない高品質のゲノムDNAであることが示唆された。
仮説のとおり、成熟初期段階のNRBCは高品質のゲノムDNAを維持している可能性が高く、我々は臍帯血を用いて実験・解析のワークフローを確立した。
また、母体血1検体について単離まで実施した。

今後の研究の推進方策

次年度は、臍帯血4検体の実験・解析結果をまとめて国際誌に投稿する。また臍帯血4検体、母体血1検体の実験・解析結果をまとめて海外の学会で発表する。
我々は様々な週数の母体血検体を採取して、母体血から分離されたNRBC候補細胞において細胞成熟度によるDNA損傷予測の関係を調査する予定である。また、ヘモグロビンF(HBG1およびHBG2)およびヘモグロビンA(HBB)の発現レベルに基づいて、NRBC候補細胞の母と児の識別が可能かどうか検証する予定である。
最終年度は、追加解析が必要であれば実施し、本研究結果を取りまとめその成果を国際誌に投稿する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Application of single-cell multiomics technology to establish an effective screening method for identifying fetal nucleated red blood cells suitable for noninvasive prenatal genetic testing2023

    • 著者名/発表者名
      Noriko Ito, Tatsuya Fujii, Kosuke Taniguchi, Kenichiro Hata, Haruhiko Sago, Kazuhiko Nakabayashi
    • 学会等名
      American Society of Human Genetics 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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