研究課題/領域番号 |
23K15892
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
阪上 雅治 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50745437)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 前庭有毛細胞 / 分化誘導 / ES細胞 / 再生 / 内耳 / 有毛細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
未曾有の高齢社会を経験している本邦において、健康寿命延伸は喫緊の課題である。加齢等による転倒リスクとして前庭障害が挙げられ、前庭神経炎等を伴う高度前庭障害に対する根治治療法は、いまだに確立されておらず、リハビリテーションの効果も乏しい。また、世界的にみても内耳前庭有毛細胞の再生を目指した基礎研究は、聴覚系研究に比して極めて報告が少なく、高度前庭障害に対する新規の根治的治療法の開発が急がれる。そこで、多能性幹細胞(ES細胞)を用いて内耳前庭有毛細胞を特異的に創生し、細胞移植治療を念頭においた高度前庭障害再生・治療を目指す本研究を計画した。
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研究実績の概要 |
急性的な前庭機能障害による臨床症状は、中枢での代償機構により症状が緩和されるが、高度前庭障害では、前庭代償不全によるめまい・歩行障害などの症状が持続するにも関わらず、 根本治療は未だ存在せず、その確立が急務であると考えられる。近年、多能性幹細胞(ES細胞やiPS細胞)を用いた再生医療の基礎研究が国内外で報告され(Sasai, Nature 2013; Takebe et al, Cell Stem Cell, 2015など)、それらの臨床的展開として、眼科・神経領域などの分野で、急速な臨床応用が先行している。内耳領域でも、多能性幹細胞より内耳有毛細胞への分化誘導が開発され(Koehler et. al., Nature, 2013など)、 高度前庭障害に対する有毛細胞移植が新規治療法の一つとして期待されるが、前庭有毛細胞特異的分化誘導に着目した研究は殆ど行われていない。先行研究として、前庭有毛細胞への分化誘導(液性)因子を発現すると考えられた前庭由来細胞(VC)の培養上清を用いて、内耳前庭有毛細胞を選択的に創生することが可能な方法を報告した(Sakagami et al., BBRep, 2019)。そこで本年度は、選択的前庭有毛細胞分化に寄与する分泌性タンパク因子を同定し、前庭有毛細胞の選択的分化誘導法を開発することを目的とした。 出生直後のマウス(C57BL/6)より内耳を単離し、 前庭および蝸牛を分離後、前庭細胞(VC)および蝸牛細胞(CC)を培養した。VCおよびCCよりRNAを抽出後、RNA‐seqにより前庭/蝸牛における特異的遺伝子発現パターンを解析した。VCではCCと比較し502の遺伝子が亢進しており、クラスタリング解析の結果からは、細胞外マトリックス関連経路が分泌性因子として関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき期待した実験成果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
VC特異的遺伝子(群)のcDNAを、VCより作成した遺伝子発現ライブラリーを用いて増幅さ せ、動物細胞発現ベクターへのサブクローニングを行い、分泌性発現ベクターの構築を行う。種々のVC特異的遺伝子を293細胞株に遺伝子導入し、G418による薬剤耐性株により安定発現細胞株を樹立後、Expi293 Expression Systemを用いて、VC特異的分泌タンパク質(VP)を回収・精製する予定である。
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