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ウサギを用いた緑内障濾過手術モデルの濾過胞におけるシングルセル解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K15909
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分56060:眼科学関連
研究機関熊本大学

研究代表者

渡邊 文香  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (80974542)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
キーワード緑内障 / 濾過手術 / シングルセルRNAシークエンス / シングルセル解析
研究開始時の研究の概要

緑内障による失明をくいとめるための最後の砦が濾過手術といわれる手術である。その成績は傷が治っていく過程の一つである組織の線維化と呼ばれる変化に大きく依存する。濾過手術後の線維化については眼内の房水が流れ込むことと、手術中に抗癌剤を塗布することなど、独特の環境が存在するため、独自の検証が必要である。また、濾過手術を動物で検証するためには、眼球サイズと経済性からウサギを用いることが合理的だが、マウスと異なり遺伝子的な情報基盤は脆弱である。以上より、本研究計画は、ウサギを用いた濾過手術モデルについて、単一細胞レベルでの遺伝子発現の変化を捉える最新の手法を用いて線維化のメカニズムを明らかにする。

研究実績の概要

緑内障濾過手術の成績は創傷治癒過程の一つである組織の線維化に大きく依存する。他臓器、他疾患において、線維化のメカニズムは多くの報告があるが、濾過手術後の線維化については生理活性物質を含有する房水の存在やマイトマイシンC処理など、独特の環境を考慮する必要があるため、結膜を用いて独自の検証が必要である。濾過手術を動物モデルで再現するため、眼球サイズと経済性からウサギを用いた。まず条件検討を行うため、白色家兎を屠殺後に結膜組織を採取し、コラゲナーゼで10分処理した後、ピペッティングと遠心を随時加えながら、トリプシン/EDTA、DNA分解酵素で順に処理し、セルストレイナーを通すことで単一細胞化した。複数回トライした結果、生細胞率は悪くなかったものの、取得細胞数はサンプルあたり300,000-400,000個と、やや少ないと判断された。遠心条件の変更や、コラゲナーゼ処理を15分にするなど、条件を見直してさらに複数回施行したところ、サンプルあたり約1,000,000個前後と取得細胞数が増加し、生細胞率も70-80%と許容範囲内だった。したがって、ウサギ結膜組織を単一化する過程について、少なくとも最低限のレベルはクリアできたと考えられる。また、ウサギに静脈麻酔を行い、ヒトと同様の0.04%マイトマイシンC併用で虹彩切除も伴う緑内障濾過手術(トラベクレクトミー)を試みた。トレーニングの結果、術前眼圧15mmHgに対し、術後4日目は7mmHg、術後17日目で8mmHgと眼圧下降をえることができた。結膜に濾過胞を形成していることも確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ウサギ結膜を単一細胞化する条件検討にやや時間がかかっている。また、ウサギを用いた緑内障濾過手術も、組織の特性にヒトと違う部分があることから、結果を安定させるの時間がかかった。ただし、いずれもほぼ確立したと言える状況となっているため、次のステップであるシングルセルRNAシークエンスを行う準備は整ったと言える。

今後の研究の推進方策

ウサギ濾過手術モデルで、シングルセルRNAシークエンスを行う。解析は10X genomics社のChromium Controllerを用いる。得られたデータについて、UMAPクラスタリング解析を行い、クラスター毎にヒートマップやGene Ontology解析を加えることで、ウサギ濾過手術後の、特に炎症性サイトカインなどの生理活性物質に着目して細胞腫ごとの相互反応の遺伝子発現変化をとらえる。エピジェネティック関連因子についても考察を加え、その発現細胞を同定する。可能であれば、ウサギ濾過手術モデルを用いて、濾過手術既往がある群とない群の手術成績を比較する。主たる評価項目は眼圧値であり、副次項目として眼圧下降率、濾過胞の形態を比較する。ヒトと同様の成績差が群間にあるかを確認した上で、それぞれの濾過胞から経時的にシングルセルRNAシークエンス解析を行い、特に血球系細胞のクラスターに着目して違いの元となりうる遺伝子変化を抽出する。さらに、該当する血球細胞と結膜線維芽細胞の共培養を行い、炎症性サイトカイン刺激の有無で生体と類似した現象が再現できるか、検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Randomized Multicenter Clinical Trial Comparing 0.1% Brimonidine/0.5% Timolol Versus 1% Dorzolamide/0.5% Timolol as Adjuncts to Prostaglandin Analogues: Aibeta Crossover Study2023

    • 著者名/発表者名
      Inatani Masaru、Orii Yusuke、Iwasaki Kentaro、et al
    • 雑誌名

      Advances in Therapy

      巻: 40 号: 9 ページ: 4074-4092

    • DOI

      10.1007/s12325-023-02589-9

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] 熊本大学大学院生命科学研究部眼科学講座 研究内容

    • URL

      https://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/ganka/kyousitu/naiyou.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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