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偏光感受型OCTを用いた黄斑疾患の強膜組織解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K15911
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分56060:眼科学関連
研究機関琉球大学

研究代表者

今永 直也  琉球大学, 病院, 助教 (50866134)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワード中心性漿液性脈絡網膜症 / pachychoroid / pachychoroid関連疾患 / 偏光感受型光干渉断層計 / 前眼部光干渉断層計 / 強膜厚 / scleral structure / pachysclera / CSC / vortex vein
研究開始時の研究の概要

脈絡膜肥厚、脈絡膜血管拡張、脈絡膜血管透過性亢進を有する脈絡膜異常はpachychoroidと呼称され、pachychoroidの本態は渦静脈のうっ滞であると考えられているが、渦静脈のうっ滞を来す根本的な原因は不明である。
我々の検討では、pachychoroid関連疾患は厚い強膜を有することが示唆されているが、一方で脈絡膜異常が強膜の組織学的構造とどのように関連するのかの研究は行われておらず、強膜構造を現行のOCTでどのように定量化するかは一定の見解はない。本研究では、偏光OCTを用いて強膜の非侵襲的な組織学的解析を行い、脈絡膜循環に対する解剖学的、組織学的な強膜の影響を解析する。

研究実績の概要

近年、中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)や加齢黄斑変性の一部の症例において、pachychoroidと呼ばれる脈絡膜肥厚、脈絡膜血管拡張、脈絡膜血管透過性亢進などの所見が、pachychoroid関連疾患(pachychoroid spectrum disease : PSD)の発症や進行に深く関わることが注目されている。これまでの研究でpachychoroidの本態は渦静脈のうっ滞であると考えられているが、渦静脈のうっ滞を来す根本的な原因は不明である。
我々は短眼軸眼においてPSDの発症が多いことから、同様に短眼軸眼で発症するuveal effusion syndrome(UES)とPSDの関連に着目した。UESは小眼球を背景とする厚い強膜を有し、脈絡膜肥厚や滲出性網膜剥離を来す疾患であり、病態として強膜の結合組織異常や強膜を貫通し脈絡膜血流の排出路となる渦静脈のうっ滞が提唱されている。CSC患者において、前眼部光干渉断層計(OCT)を用いた強膜描出によりCSCを有する眼においてはUESと同様、正常眼と比較して強膜が厚いことがわかった。厚い強膜による渦静脈の灌流障害により脈絡膜血流の不均衡を来すと考えられ、pachychoroidの原因の一つとして強膜構造の関与を推察している。
一方で脈絡膜異常が強膜の組織学的構造とどのように関連するのかの研究は行われておらず、強膜構造を現行のOCTでどのように定量化するかは一定の見解はない。本研究では組織構造が描出可能な偏光感受型の光干渉断層計を用いて、正常眼やpachychoroidにおける強膜の組織学的な構造が脈絡膜血流に及ぼす影響の解析を行い、病態解明を行う。得られた知見から、強膜をターゲットにした新規治療法を開発することで、病態に即した最適治療及び、より低コストな脈絡膜に対する外科治療の開発を目的とする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

琉球大学病院眼科を受診するpachychoroid関連疾患(pachychoroid spectrum disease : PSD)や滲出型加齢黄斑変性を有する患者に対して背景因子、臨床所見、画像診断所見に関して前向きに調査を行う。偏光感受型光干渉断層計(PS-OCT)は、前眼部OCT(CASIA2)において従来は描出不可能であった直筋下の強膜構造を得ることができ、渦静脈付近の強膜構造の描出が可能である。通常のOCTでは、生体からの後方散乱強度分布のみを計測しており、その偏光については特に考慮されていない。しかし生体内の線維状組織は構造性複屈折をもっているため、散乱強度だけでなく生体内の偏光変化を計測すれば線維状組織とそうでない組織に画像のコントラストを与えられる。PS-OCTは OCT の干渉計を偏光感受型とすることで,生体内の複屈折分布を計測することができる。PS-OCTを用いることにより、組織学的な強膜の評価が可能になる。これらを使用し一般的眼科検査に加え、後眼部OCT検査を用いて、脈絡膜構造と強膜構造・組織の定性的、定量的評価を行いデータ収集、解析を行っている。
現在までにPSD症例100眼、正常眼100眼以上の症例集積が完了している。今後はPS-OCTを用いて、正常眼及びPSDにおける強膜の組織学的変化を観測し、脈絡膜構造や循環状態とPS-OCTで得られたデータにおける統計学的解析を行い、強膜構造と脈絡膜循環との関連性を明確にしていく。

今後の研究の推進方策

現状、PSDにおける脈絡膜構造に対する強膜構造の関与を示唆する学術的発表の多くは我々のグループが行っている。前眼部OCTを用いて、今まで描出困難であったPSDの代表症例であるCSCにおける深部強膜を描出できる手法を確立し、PSDの代表疾患であるCSCにおいて、脈絡膜構造変化が強膜厚に影響されることを、世界で唯一示している。その手法を利用し、今後はCSC症例に加え、他のPSD症例(Pachychoroid neovasculopathy, ポリープ状脈絡膜血管症)、正常眼においても同様に検討を行う。また、偏光感受型OCTにおいても、同様に強膜組織の定量的評価法を確立させ、同様に解析を行っていく。
現在、症例の集積が完了しており、強膜構造をどのように定量化するか模索中である。これまで前例のないデータ解析であるため、定量化の方法を模索しつつ、必要があれば画像解析ソフトの開発を行う予定である。
これら加えて脈絡膜構造や血流を解析、定量化し、PSDにおいて強膜厚、強膜構造・組織学的な変化が脈絡膜構造、脈絡膜血流にどのような影響を与えるか解析する。加えて解析されたデータから強膜構造や渦静脈による既存のPSDに対する加療に対する影響を検討し、強膜構造を元により適正な加療を目指す。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Scleral Thickness in Simple Versus Complex Central Serous Chorioretinopathy2024

    • 著者名/発表者名
      Naoya Imanaga, Nobuhiro Terao, Sorako Wakugawa, Yasunori Miyara, Shota Sawaguchi, Ayano Oshiro, Yukihide Yamauchi, Hideki Koizumi
    • 雑誌名

      Am J Ophthalmol.

      巻: 261 ページ: 103-111

    • DOI

      10.1016/j.ajo.2024.01.025

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Vogt-Koyanagi-Harada disease in a patient with extreme anisometropia2023

    • 著者名/発表者名
      Marina Maehira, Ayano Oshiro, Naoya Imanaga, Yukihide Yamauchi, Hideki Koizumi
    • 雑誌名

      Am J Ophthalmol Case Rep.

      巻: 32 ページ: 101929-101929

    • DOI

      10.1016/j.ajoc.2023.101929

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] SCLERAL THICKNESS IN THE FELLOW EYES OF PATIENTS WITH UNILATERAL CENTRAL SEROUS CHORIORETINOPATHY2023

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Aichi, Nobuhiro Terao, Naoya Imanaga, Shota Sawaguchi, Sorako Wakugawa, Yasunori Miyara, Ayano Oshiro, Yukihide Yamauchi, Hideki Koizumi
    • 雑誌名

      Retina.

      巻: 43 号: 9 ページ: 1573-1578

    • DOI

      10.1097/iae.0000000000003850

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Scleral thickness determines the severity of central serous chorioretinopathy2024

    • 著者名/発表者名
      Naoya Imanaga, Nobuhiro Terao, Sorako Wakugawa, Yasunori Miyara, Shota Sawaguchi, Ayano Oshiro, Yukihide Yamauchi, Hideki Koizumi
    • 学会等名
      The 39th Asia-Pacific Academy of Ophthalmology Congress
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Pachychoroid neovasculopathyにおける強膜厚の検討2023

    • 著者名/発表者名
      湧川空子, 寺尾信宏, 玉城環, 宮良安宣, 今永直也, 古泉英貴
    • 学会等名
      第127回日本眼科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 中心性漿液性脈絡網膜症の黄斑部渦静脈吻合と脈絡膜血管透過性亢進所見2023

    • 著者名/発表者名
      宮良安宣, 寺尾信宏, 今永直也, 古泉英貴
    • 学会等名
      第77回日本臨床眼科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 中心性漿液性脈絡網膜症の黄斑部渦静脈吻合に関与する解剖学的因子の検討2023

    • 著者名/発表者名
      宮良安宣, 今永直也, 寺尾信宏, 湧川空子, 澤口翔太, 大城綾乃, 山内遵秀, 古泉英貴
    • 学会等名
      第62回日本網膜硝子体学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 日本眼科学雑誌 127巻6号 6452023

    • 著者名/発表者名
      今永直也, 寺尾信宏, 園田祥三, 澤口翔太, 山内遵秀, 坂本泰二, 古泉英貴
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      公益財団法人日本眼科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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