研究課題/領域番号 |
23K15913
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
木村 雅代 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70748334)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | AI / OCT / データ転送システム / AI診断支援 |
研究開始時の研究の概要 |
関連病院などと連携し、健診へのAI搭載機器導入、クラウドによるデータ集約システムの構築を探索し、また僻地医療や遠隔医療への機器導入を試験運用したい。また、モデルケースを構築したのち、臨床応用において障害となる問題点を見出し、解決策を考察する。
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研究実績の概要 |
成人の主な視覚障害の原因は、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性であり、発症予防(一次予防)とともに、早期発見・早期治療(二次予防)が重要である。網膜構造の詳細な観察による早期診断と治療効果の判定を可能とする光干渉断層計(Optical Coherence Tomography: OCT)の普及により、糖尿病網膜症と加齢黄斑変性の視力予後は大きく改善した。OCTは眼科診療に不可欠となったが、所見の読影や治療の判断に関して専門知識と経験を要する。これらの疾患ではOCTを用いて網膜厚を測定し、網膜の滲出性変化の大きさやその位置、網膜構造の変化などを判定し、治療内容や治療時期、治療間隔を決定する。OCTにおける経過観察ソフトにAIを搭載することで、治療マーカーとなる網膜厚自動測定や網膜厚経時変化の自動グラフ化を可能とし、適切な治療時期の判定など、AIにより治療方針の決定をサポートできるのではないかと試みている。 また、本研究では、名古屋市立大学医学部附属病院群の他、中核市から遠方にある病院と連携し、データ転送システムを構築することにより、僻地の病院における診断・治療のサポートの構築の試験運用を計画している。診療カルテをクラウドによるデータ集約システムへ接続することで、相互にデータが閲覧可能となり、専門医による僻地医療へのサポートを構築したい。専門医による画像診断や治療方針決定への参加が可能となれば、患者は立地的不利を克服し、安全で高度な医療を身近で享受することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
OCTを用いて網膜厚を測定し、滲出性変化の浮腫の大きさやその位置、網膜構造の変化などをAIにより自動判定し、治療内容や治療時期、治療間隔の決定をサポートする経過観察ソフトを構築中であるが、システム的困難が多く、未だ実用には至っていない。これには治療前後のOCT画像など十分なデータをAIに学習させる必要があるが、コロナ渦を経て患者の受診控えもあり、十分なデータを解析できていないのも一因である。 また、データ転送システムの構築も、本研究の重要なテーマであるが、安全なネットワークの構築が非常に困難である。昨今、個人情報の漏洩は社会的にも重要な問題であり、訴訟問題の一因ともなり得る。不正アクセスのみならず、クラウドサービスの設定ミスで電子カルテデータの流出が起こった事例もある。慎重な個人情報の取り扱いが必要な診療カルテへの接続を可能としたいが、外部から侵入不可能なネットワーク構築など安全性の担保が必要不可欠であり、研究を困難なものとしている。
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今後の研究の推進方策 |
AIに治療内容や治療時期、治療間隔の決定をサポートさせる経過観察ソフトの開発には、AIの精度の向上が必要不可欠である。十分な量のデータを学習させ、網膜厚自動測定および網膜厚経時変化の自動グラフ化の精度を上げ、それによる治療へのサポートを実用化したい。 また、診療カルテを相互に閲覧可能にする安全なネットワークの構築を進めたい。それにより、クラウドによるデータ集約システムを構築し、専門医の参加を必要とする僻地の病院の診断・治療サポートを進める。
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