研究課題/領域番号 |
23K15916
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
伴 紀充 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50464897)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 光免疫療法 / 脈絡膜新生血管 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢黄斑変性は先進国における高齢者の主要な失明原因の一つである。その中でも特に重篤な視力低下を来す滲出型加齢黄斑変性に対する現在の標準治療は抗VEGF (Vascular Endothelial Growth Factor:血管内皮増殖因子)抗体の硝子体注射であるが、治療抵抗例も多く、また長期にわたる繰り返しの治療により患者や医療経済への負担も大きく、より根治的な治療法が必要である。本研究ではまず、光免疫療法を応用した加齢黄斑変性の根治療法の確立を目的とする。さらに、病的新生血管を対象とした光免疫療法の作用機序を解明することで光免疫療法の幅広い応用を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究はマウス抗VEGFR2抗体(DC101)のIR700複合体(DC101-IR700)を用い、マウス脈絡膜血管新生(choroidal neovascularization : CNV)モデルを用いて、光免疫療法の加齢黄斑変性に対する治療効果を検討し、さらに光免疫療法作用時の病的新生血管の細胞動態を明らかにするものである。 これまで複数の研究により脈絡膜新生血管(CNV)でのVEGFR2動態に関する報告があるが、統一的な見解には至っていなかった。本研究ではまず、CNVにおけるVEGFR2の発現や局在をDC101-IR700を用いて詳細に解析した。レーザー照射後にDC101-IR700を尾静脈より投与し、24時間後に蛍光観察によってCNVにおける局在を検討したところ。レーザー照射5日後でVEGFR2の発現が高くなることを見出した。この結果に基づき、DC101-IR700の投与をレーザー照射4日後に行い、その後近赤外光照射をレーザー照射5日後に行い、最終的なCNVの定量をレーザー照射10日後に行うプロトコールを確立した。 これまで複数の研究からDC101抗体によるCNV抑制効果が示されているが、治療には2日毎、計14日の投与を要するという報告がほとんどであることから、DC101-IR700では通常の抗体治療より少ない回数の投与と近赤外光照射により治療効果を発揮することが推測されたが、今回のプロトコールでは、DC101-IR700非投与群との比較だけでなく、DC101-IR700投与かつ近赤外光非照射群と比較しても、DC101-IR700投与かつ近赤外光照射群が優位にCNVの体積が減少していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はマウス抗VEGFR2抗体(DC101)のIR700複合体(DC101-IR700)を用い、マウス脈絡膜血管新生(choroidal neovascularization : CNV)モデルを用いて、光免疫療法の加齢黄斑変性に対する治療効果を検討するものであるが、動物実験で得られたデータを基にプロトコールが確立し、治療効果を証明する結果を得ているため、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として以下の2つが挙げられる。 1つ目は、眼局所投与および眼局所照射の検討であ。検討VEGFR2は全身の血管に広く分布するため、実際の治療を想定する際には他器官への影響を最小にするためにもDC101-IR700の眼内への局所投与および近赤外光の眼局所照射が望まれる。そこで、硝子体へDC101-IR700 1ul(500ug/ml)を投与することでDC101-IR700の分布や治療効果を検討する。また、近赤外光の照射も、より病変部に限定した照射を行うために眼科用スリット装置を用いた照射方法を検討する 2つ目は、in vitroにおける光免疫療法の作用メカニズムの解明であり、DC101-IR700の血管新生における作用機序をin vitroの実験系を用いて検討する。具体的にはb.End3 cellを培養後にDC101-IR700を添加し近赤外光照射後に形態観察、血管新生関連遺伝子の発現検討、Wound healing assayによる内皮細胞遊走評価、細胞増殖および細胞死評価、遊走能の評価を行う予定である。
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