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2型糖尿病状態に対するメトホルミン投与が歯肉線維芽細胞の機能に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 23K15968
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分57020:病態系口腔科学関連
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

小湊 広美  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60964567)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2027年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード糖尿病と歯周病 / 2型糖尿病 / 歯肉線維芽細胞
研究開始時の研究の概要

慢性的な高血糖を特徴とする糖尿病は、歯周組織の創傷治癒を遅延させることが知られている。ビグアナイド系糖尿病治療薬であるメトホルミンは肝臓に作用して血糖値を低下させるが、近年、皮膚の創傷治癒を促進させることが報告されている。しかしながら、歯周組織に対する影響はほとんど明らかになっていない。本研究では、メトホルミンが歯肉線維芽細胞の機能に及ぼす詳細なメカニズムをin vitroにて検索し、その結果に基づき2型糖尿病モデル動物へのメトホルミン投与が創傷治癒時の結合組織形成の促進をもたらす影響を、歯肉創傷部の遺伝子発現の網羅的解析、さらに結合組織に蓄積した終末糖化産物関連のタンパクの解析から検討する。

研究実績の概要

本研究の目的は、ビグアナイド系糖尿病治療薬であるメトホルミン投与が歯肉創傷治癒における結合組織にもたらす効果を網羅的な遺伝子解析から検討し、さらに高血糖によって生じるコラーゲン病的架橋及びコラーゲン産生能の低下に対するメトホルミンの影響を歯肉線維芽細胞で検索することである。メトホルミンが1型糖尿病モデルラットの創傷治癒を促進するという研究は皮膚科領域では報告例がある(Yu J et al. Cardiovasc Diabetol. 2016)が、口腔領域の創傷治癒に及ぼす影響への解析は、申請者の過去の研究のみである(Kominato et al. J Periodontol. 2022)。本研究は、メトホルミンが口腔内領域の創傷治癒に及ぼすメカニズムをコラーゲン組織の病的架橋の観点から検索する点に学術的独自性がある。さらに、高血糖条件におけるメトホルミン投与が結合組織産生機能を改善するという仮説を立てており、糖尿病モデル動物により検証をすることは、糖尿病患者の歯科治療時の歯肉の創傷治癒を想定したトランスレーショナルリサーチとしてだけでなく、広く使用されている薬品の新たな付加効果の探求として創造性が高いと思われる。現在、糖尿病患者及び境界型糖尿病患者はわが国において増加傾向にあることが指摘されており、メトホルミンが糖尿病患者の歯周組織に及ぼすさらなる影響を明らかにすることができれば、糖尿病患者の歯周病治療における新規の所見として意義は大きく、臨床的に波及効果も大きいと想像される。当該年度では、ヒトからの歯肉線維芽細胞の単離を行い、今後の実験のための培養条件の検討を行っている。また、東京医科歯科大学動物実験委員会の承認が下りたため、動物実験の準備を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

歯肉線維芽細胞を用いて、高血糖状態が歯肉線維芽細胞の増殖能や酸化ストレスによる遊走能にどのように影響をおよぼすかを、そのメカニズムを含めて検索している。
結合組織移植術を受ける全身的に健康な患者から同意のもと術中に採取したヒト歯肉結合組織から歯肉線維芽細胞を単離して初代培養を行い、対照培地(グルコース濃度:15mM)で培養し、同培養液のグルコース濃度を50mMに調整して高血糖状態を想定して培養することを条件確定した。
解析として、細胞遊走能をin vitro wound healing assayにて評価し、高血糖状態にて細胞機能に障害が生じ、メトホルミン添加によりその障害が軽減されることを確認している。今後は対照群、高血糖群にメトホルミン添加を行った後、Ⅰ型コラーゲン、Ⅲ型コラーゲン、フィブロネクチン、MMP-13等の発現をリアルタイムPCR法およびウェスタンブロット法にて評価していく予定である。
動物実験は実験条件、手技の検討を行っている。

今後の研究の推進方策

細胞実験では、現在培養している歯肉線維芽細胞を用いて、対照培地(グルコース濃度:15mM)と高血糖培地(グルコース濃度:50mM)で培養したのちにメトホルミン添加を行いⅠ型コラーゲン、Ⅲ型コラーゲン、フィブロネクチン、MMP-13等の発現をリアルタイムPCR法およびウェスタンブロット法にて評価する。
動物実験で10週齢の時点でインスリン負荷試験、経口グルコース負荷試験により耐糖能異常、インスリン抵抗性が生じていることを確認した後、db/dbマウスを2週間のメトホルミン投与(250 mg/kg/d、経口投与)の有無の2群に分けた後に歯肉創傷の作製、組織学的、組織形態計測分析、発現変動遺伝子発現の解析、歯肉結合組織に蓄積したAGEs量にメトホルミンが及ぼす影響の検討を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Improvement of periodontal parameters following intensive diabetes care and supragingival dental prophylaxis in patients with type 2 diabetes: A prospective cohort study2024

    • 著者名/発表者名
      Mizutani Koji、Minami Isao、Mikami Risako、Kido Daisuke、Takeda Kohei、Nakagawa Keita、Takemura Shu、Saito Natsumi、Kominato Hiromi、Sakaniwa Eri、Konuma Kuniha、Izumi Yuichi、Ogawa Yoshihiro、Iwata Takanori
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Periodontology

      巻: 51 号: 6 ページ: 733-741

    • DOI

      10.1111/jcpe.13958

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Genetic analysis of impaired healing responses after periodontal therapy in type 2 diabetes: Clinical and in?vivo studies2024

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Keita、Watanabe Kazuki、Mizutani Koji、Takeda Kohei、Takemura Shu、Sakaniwa Eri、Mikami Risako、Kido Daisuke、Saito Natsumi、Kominato Hiromi、Hattori Atsuhiko、Iwata Takanori
    • 雑誌名

      Journal of Periodontal Research

      巻: - 号: 4 ページ: 1-16

    • DOI

      10.1111/jre.13249

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Influence of Reactive Oxygen Species on Wound Healing and Tissue Regeneration in Periodontal and Peri-Implant Tissues in Diabetic Patients2023

    • 著者名/発表者名
      Buranasin Prima、Kominato Hiromi、Mizutani Koji、Mikami Risako、Saito Natsumi、Takeda Kohei、Iwata Takanori
    • 雑誌名

      Antioxidants

      巻: 12 号: 9 ページ: 1787-1787

    • DOI

      10.3390/antiox12091787

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 低出力Er:YAGレーザー照射の血管内皮細胞への影響.2023

    • 著者名/発表者名
      竹村修、水谷幸嗣、三上理沙子、中川佳太、秤屋雅弘、坂庭愛理、齋藤夏実、城戸大輔、武田浩平、小湊広美、青木章、岩田隆紀.
    • 学会等名
      第66回春季日本歯周病学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 糖尿病モデルラットにおける実験的歯周炎の治癒期の網羅的遺伝子発現解析2023

    • 著者名/発表者名
      中川佳太、水谷幸嗣、渡辺数基、齋藤夏実、竹村修、坂庭愛理、三上理沙子、城戸大輔、武田浩平、小湊広美、服部淳彦、岩田隆紀
    • 学会等名
      第66回春季日本歯周病学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Porphyromonas gingivalis 由来LPSによる高血糖状態でのメサンギウム細胞の線維化への影響2023

    • 著者名/発表者名
      坂庭愛理,三上理沙子,水谷幸嗣,齋藤夏実,小湊広美,竹村修,中川佳太,秤屋雅弘,城戸大輔,武田浩平,美馬晶,岩田隆紀
    • 学会等名
      第66回春季日本歯周病学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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