研究課題/領域番号 |
23K15970
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小野 晋太郎 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (80866517)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Porphyromonas gingivalis / IX型分泌装置 / ジンジパイン / PGN_0296オペロン |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病は歯周病細菌の慢性感染によって起こる口腔内疾患である。また近年では歯周病が全身性疾患に関連することも注目されてきており,歯周病の予防や治療の重要性は高い。本研究では,Porphyromonas gingivalisが持つ特有のタンパク質分泌機構であるIX型分泌装置に関連するPGN_0296オペロンの各遺伝子の機能と役割を解析し,P. gingivalisの病原性における役割を明らかにすることを目的とする。この研究によりP. gingivalisの病原性の一端を解明できれば,歯周病におけるP. gingivalisの重要性や歯周病の新たな予防法・治療法に繋がるものと考えられる。
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研究実績の概要 |
口腔内細菌Porphyromonas gingivalisは主要な病原因子であるジンジパインをIX型分泌装置から分泌する。しかし,IX型分泌機構の構成タンパク質や分泌機構の詳細については未だ解明されていないところがある。 P. gingivalis ATCC33277株のゲノム上に存在する,PGN_0296からPGN_0301までの遺伝子によって構成されるPGN_0296オペロンに着目し,研究を行ってきた。以前に,このオペロン中のPGN_0300遺伝子の遺伝子産物はIX型分泌装置が正常に働くために必要で,ジンジパインが正常に分泌されて機能するためにも必要であること,またPGN_0297遺伝子もジンジパインが正常に働くために必要であることを報告した。 今年度は,このオペロン内のPGN_0298遺伝子の検討を行った。 まず,P. gingivalis ATCC33277株を親株として,ゲノム上に存在するPGN_0298遺伝子を相同組換えにより破壊することを試みた。その結果,PGN_0298遺伝子の欠損株の作製効率が極めて低かった。作製されたPGN_0298遺伝子欠損株は,白色のコロニーを形成したことからジンジパインの分泌に影響する遺伝子であることも示唆された。次に,PGN_0298を発現するためのプラスミドを作製し,PGN_0298欠損株に導入することで相補株の作製を試みた。このプラスミドの導入によりPGN_0298遺伝子が発現されていることは確認できたものの,そのコロニー性状はPGN_0298遺伝子欠損株と同じで,親株の性状には戻らなかった。このことから,PGN_0298遺伝子産物が機能するためには,その発現量がPGN_0296オペロンに存在する他の遺伝子の発現量と相関する必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度で予定していたPGN_0296オペロンの機能未知遺伝子の変異株の作製において,おおむね順調に進展していると思われる。 現在までにPGN_0296オペロンの機能未知遺伝子のうち, PGN_0298遺伝子の変異株を作製し,コロニー性状に変化をきたすことが判明した。これまで解析されていない他の遺伝子についても解析に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
PGN_0296オペロンの機能未知の遺伝子のうちPGN_0298の欠損株作製による機能解析だけでなく,PGN_0301の解析を進めている。オペロン内の各遺伝子間の関係を含めて,このオペロンの役割をさらに解明していく予定である。
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