研究課題/領域番号 |
23K15971
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
平井 杏奈 岡山大学, 大学病院, 医員 (60966547)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 低栄養 / 歯周炎 / DAMPs / HMGB1 |
研究開始時の研究の概要 |
低栄養状態では,免疫不全や筋力低下によってフレイルの状態に陥りやすい。また,歯周炎に罹患して歯を喪失すると経口栄養 摂取が困難になり低栄養状態を招く。低栄養状態では,統計学的に歯周疾患をはじめとする口腔機能低下に繋がりやすいことが報告されているが,その免疫学的メカニズムは明らかになっていない。そこで本研究では,DAMPsであるHMGB1と細胞のエネルギー源でありながらDAMPsにもなり得るアデノシン 三リン酸(A TP)に着目し,低栄養状態における歯周炎進行の免疫学的メカニズムを検討する.
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研究実績の概要 |
申請では,DAMPsであるHigh Mobility Group Box 1(HMGB1)とアデノシン三リン酸(ATP)に着目し,低栄養状態における歯周炎進行の免疫学的メカニズムを検討している。野生型マウス群(C57BL6 雄マウス)と低栄養マウス群(野生型マウスに低カゼイン食を14日間与えて低栄養状態にしたマウス(Zhang Y et al., Int Pharmacol. 2020)を用いて,以下の実験を行った。 ・低栄養マウス群および野生型マウス群で経時的な体重変化を観察した。その結果,低栄養マウス群では明らかに体重が減少することが分かった。 ・低栄養マウス群および野生型群で,尻尾から血液を採取し,生化学検査を実施した。その結果,野生型マウス群と比較して,低栄養マウス群では総タンパク,アルブミン,グルコースの値が有意に減少していた。このことから,低カゼイン食を与えることで低栄養の状態が確立されていることが生化学的にも確認できた。 ・歯周炎モデルマウスを既報に準じて作製する(Abe T et al., J Immunol. 2015)。3日後に歯周組織を回収して,上顎骨の骨標本を作製し,歯周炎による歯槽骨吸収度を測定した。その結果,絹糸結紮により起こった歯槽骨吸収は,低栄養マウス群では野生型マウス群と比較して骨吸収度が大きい傾向にあったが,有意差はなかった(n=4)。実際の計測値は,低栄養マウス群の1匹の個体で大きく外れた値があったため,免疫学的に何らかの問題点があったことが予測される。 今後は,n数を増やして検討を続ける必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Zhang Y et al., Int Pharmacol. 2020の報告通り,低カゼイン食を与えることによって低栄養マウスモデルを確立することができた。そして,低栄養マウス群では,歯周炎による歯槽骨吸収が促進する傾向にあることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
歯周炎による骨吸収度の測定では,マウスによって個体間のばらつきが多く,特に低栄養マウス群では1匹大きく外れた測定値を示す個体があったため,今後はn数を増やして検討する必要がある。 Zhang Y et al., Int Pharmacol. 2020の論文では,炎症反応が遅延する可能性が示されているが,どのようなメカニズムで炎症反応の遅延が歯槽骨吸収の増悪につながるのか,メカニズムの検討が必要である。
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