研究課題/領域番号 |
23K15973
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
畑野 紗希 広島大学, 医系科学研究科(歯), 専門研究員 (40882014)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | スクレロスチン / 顎骨壊死 / ロモソズマブ |
研究開始時の研究の概要 |
骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(Medication Related Osteonecrosis of the Jaw(MRONJ))は、決定的なメカニズムの解明はなされておらず、根本的な治療法はない。骨粗鬆治療は、患者の病態に応じた多くの治療薬の選択肢がある。Romosozumab(Sclerostin 中和抗体(Romo))は骨粗鬆症治療薬の一つで、Bisphosphonate(BP)製剤と同様に破骨細胞機能の阻害に加えて骨芽細胞の骨形成能を促進する。RomoもMRONJを発症するリスクが懸念されており、歯科との連携が求められている。RomoがONJ発症にどのような影響を及ぼすか詳細に解明することで、安全な骨粗鬆治療の展開が期待される。
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研究実績の概要 |
スクレロスチン中和抗体は、骨形成能と骨吸収抑制能を持つ、骨粗しょう症治療薬の一つである。しかし、スクレロスチン中和抗体には、骨吸収抑制能を持つため、顎骨壊死発症のリスクが懸念されている。しかし、直接スクレロスチン中和抗体が顎骨壊死発症に関与したとする報告はないため、その影響は不明であった。そこで、本研究では、スクレロスチン中和抗体をより強度に模倣する、スクレロスチン欠失マウスを用いて、抜歯モデルを用いて、顎骨壊死が発症するか検証を行った。 スクレロスチンの免疫染色で、野生型マウスでは、骨細胞、歯根膜、また歯肉結合組織に、スクレロスチンの発現が確認されたが、ノックアウトマウスでは、その発現は確認できなかった。次に、上顎第二臼歯の抜歯を行い、顎骨壊死が発症するか検証した。その結果、野生型とノックアウトマウスいずれにおいても、顎骨壊死の発症は確認できなかった。 また、抜歯窩の骨形成能を確認すると、ノックアウトマウスの抜歯窩は、野生型マウスと比較して骨形成能が促進しており、早期に抜歯窩治癒が誘導されていることが明らかになった。 現時点では、抜歯による顎骨壊死発症リスクは、スクレロスチン機能低下では、起きにくいことが示されたが、歯周炎を誘導し、また顎骨壊死発症を誘導するビスホスホネート製剤を投与するなど、より顎骨壊死のリスクの高い状況で、スクレロスチン機能低下がどのような働きを持つか検証する予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、研究計画当初より予定していた、スクレロスチンノックアウトマウスの安定的な確保が行えており、さらに抜歯による顎骨壊死発症の有無を確認することができた。さらに、組織学的評価も行えており、当初予定していた実験はおおむね終了させ、結果を得ることができた。 次年度は、より顎骨壊死が発症しやすい状況を模倣して、実験を行う予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
スクレロスチンノックアウトマウスを用いて、絹糸結紮歯周炎マウス、またビスホスホネート製剤投与による、顎骨壊死発症に及ぼすスクレロスチン欠失がどのように影響するか評価する。また、スクレロスチン欠失の抜歯窩の骨形成能促進が薬剤関連顎骨壊死モデルでどのように影響しているか検証するため、抜歯窩のCT撮影および、骨関連タンパク質の免疫染色も行う予定である。
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