研究課題/領域番号 |
23K15988
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
|
研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
美原 希美 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (00803264)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | KLF5 / 分化 / 上皮 / ケラチノサイト / 遺伝子 / 発現制御 / 癌 / 細胞分化 |
研究開始時の研究の概要 |
Kruppel-like factor 5(KLF5)は上皮細胞の分化抑制に重要な転写因子であり、上皮性悪性腫瘍で過剰に発現する。KLF5は癌細胞を脱分化させ上皮-間葉移行を誘導し、癌進行における重要な因子であると考えられるが、その発現制御機構には不明な点が多い。 本研究ではKLF5遺伝子発現の負の制御機構に注目し、KLF5遺伝子の発現抑制機構と癌細胞分化との関係性について検証する。
|
研究実績の概要 |
Kruppel-like factor(KLF)5は上皮細胞の分化制御に重要な転写因子であり、上皮性悪性腫瘍で過剰に発現する。口腔癌細胞にKLF5を過剰発現させると分化形質が阻害されることから、KLF5は癌細胞を脱分化させ、癌進行における重要な因子であると考えられる。本研究では、癌の悪性形質獲得に関わるKLF5遺伝子の抑制的な発現制御機構に着目し、「①KLF5遺伝子の発現抑制機構」と「②KLF5発現制御と細胞分化との関係性」を明確にすることを目的とした。 これまでに申請者はヒトKLF5遺伝子の基本的発現に重要な最小必要領域(minimal essential region、MER)とその上流にあるサイレンサー領域を同定した。また、MERとサイレンサー領域はCREB1を介してインタラクトしていることを明らかにした。そこで、①、②を解明するために以下の通りに研究を進め、結果を得た。 ①:サイレンサー領域には3か所のCREB1結合サイトが存在しており、qChIP解析により、すべての結合サイトでCREB1の結合が確認された。また、KLF5遺伝子の発現を抑制するためには、3か所のCREB1結合サイトがインタクトである必要があることが判明した。 ②:HaCaT(Human keratinocyte cell line)を低濃度もしくは高濃度カルシウム培地で培養することで分化誘導を行い、内在性KLF5の経時的発現変化をウエスタンブロットで解析したところ、いずれのカルシウム濃度でも培養時間の延長に伴いKLF5の発現が減少した。このことから、内在性KLF5の発現抑制にはカルシウム以外の分化誘導因子として細胞密度が関係することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KLF5遺伝子の発現抑制機構の解析について、MER-サイレンサー領域間に介在するCREB1複合体解析に着手するにあたり、サイレンサー領域に存在する3か所のCREB1結合サイトの重要性を明らかにし、その成果は学術論文として発表した。KLF5発現制御と細胞分化との関係性の解析について、当初予定していた実験とは異なる実験が必要となり、現在はその準備段階にある。来年度から重点的に解析する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
KLF5発現制御と細胞分化との関係性について、今回得られた結果を踏まえ、カルシウム以外の分化誘導因子についても解析を行う予定である。
|