研究課題/領域番号 |
23K15999
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡邉 昌克 大阪大学, 大学院歯学研究科, 特任研究員 (00909492)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 歯髄 / Protein S100 / ペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまでに、歯髄創傷治癒を促進し、歯髄の活性を賦活化するProtein S100ファミリータンパク質のアミノ酸配列から、創傷治癒促進と抗炎症作用を持つ機能配列の同定に成功した。本研究は、同定した機能配列を伸長または短縮した配列のペプチド、および環状化したペプチドの評価、さらに先端質量分析法によるペプチドの局在の解析をラット直接覆髄実験にておこなう。加えて、免疫染色による機能ペプチドのターゲット細胞の同定と炎症に関与するシグナル経路に対する影響のメカニズム解析も同様の覆髄実験にておこなう。得られた知見は、歯髄保存療法の適応拡大に直結する創造的な研究である。
|
研究実績の概要 |
研究実施計画に基づいて以下の研究を実施した。 ①機能ペプチドの最適化 機能ペプチド(KLLETECPQ)の機能向上、および製品化に向けた安定性の向上を目的にアミノ酸配列の最適化実験をおこなった。これまでに応募者らが発見した機能ペプチドは 9残基の直鎖状アミノ酸から成り、より最適な機能ペプチドのアミノ酸配列を決定するために、本来のタンパク質のアミノ酸配列と照合し、N末端側、C末端側のアミノ酸配列を追加したアミノ酸配列を11種類、削除した場合のアミノ酸配列を9種類、合計20種類のアミノ酸配列を設計・合成し、ラットの健全上顎臼歯を対象とした直接覆髄実験を実施した。その結果をマイクロCTのよる形成された第三象牙質の評価および病理組織学的評価をおこなったところ、元の9残基のアミノ酸配列と比較し、硬組織形成能が高いアミノ酸配列は存在しなかった。そのため、当初の9残基のアミノ酸配列を最も最適なアミノ酸配列と判断し、以後の実験をおこなっていく予定である。 ②歯髄における機能ペプチドの局在と抗炎症作用のメカニズム解析 本機能ペプチドの歯髄組織への作用機序解明に向けて、最適化された機能ペプチドの歯髄内における局在を解析する目的でラット直接覆髄実験を最適化された機能ペプチドを用いて実施し、連続病理組織切片にて飛行時間型二次イオン質量分析法 (TOF-SIMS) を応用して病理組織切片上における機能ペプチドの局在マッピングをおこなう予備実験として、川本法で作成した病理組織切片がTOF-SIMSで検出可能かの検証をおこなった。その結果、TOF-SIMSでの歯髄組織の正常なイメージ像の取得に成功した。今後は最適化したペプチドが決定次第、覆髄をおこなった切片で実験をおこなう予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アミノ酸直鎖配列ペプチドの構造の安定化を目指しジスルフィド架橋や、ラクタム架橋を形成した数種類の環状ペプチドの合成を委託していたが、環状ペプチドの合成が困難なアミノ酸配列であったことにより実験の着手に遅延が生じている。今年度は当初の計画通り実験をおこなっていくため、環状ペプチドを用いた機能ペプチドの最適化および、最適化ペプチドを用いたラット覆髄実験をおこない、TOF-SIMSにてペプチドの局在を解析していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は最適と判断した9残基のアミノ酸配列を元にした環状ペプチドを用いてラットの健全上顎臼歯を対象とした直接覆髄実験し、硬組織形成能を維持できる構造の環状ペプチドを決定する予定である。 その後、本機能ペプチドの歯髄組織への作用機序解明に向けて、最適化された機能ペプチドを覆髄材として応用し、ペプチドの歯髄内における局在を解析する。ラット直接覆髄実験を最適化された機能ペプチドを用いて実施し、被験歯に対して、未固定未脱灰の病理組織切片作成方法である川本法を用いて連続病理組織切片を作成し、TOF-SIMSを応用して病理組織切片上における機能ペプチドの局在マッピングをおこなう予定である。
|