研究課題/領域番号 |
23K16020
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上村 怜央 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (10823560)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 象牙質 / 再石灰化 / う蝕 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の「削って詰める」歯科治療の脱却を図るために、象牙質コラーゲン架橋形成作用を用いた「削らない」う蝕予防・治療法の開発を目指している。コラーゲン架橋材による新たな架橋形成作用と、フッ素含有カルシウム材料による再石灰化作用を複合的に機能させ、歯を削らず材料塗布のみで効率的な再石灰化を行うという、生体治癒力を利用した全く新しい治療法である。近年の根っこ虫歯の急増を背景に、口の中をより再現した動物実験まで検討する、臨床的意義の極めて高い研究である。
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研究実績の概要 |
本研究は、これまでの研究成果と高齢者の根面う蝕の性質を踏まえつつ、ミネラルとコラーゲンの両面から象牙質のバイオミネラリゼーションを超効率的に最大限に促進させる材料を開発することを目的としている。 従来は象牙質のミネラルのみをターゲットとして石灰化を試みる研究が多数報告されてきた。一方本研究では、ミネラルとコラーゲンからなる象牙質に対して、その両面から再石灰化に寄与するという点に学術的独自性がある。象牙質の両面へのアプローチによって相乗効果をもたらし、歯の耐酸性および再石灰化のより効果的な促進を図るというアイディアそのものが斬新である。さらに本研究の独自性たる特筆すべき点は、従前のう蝕評価方法においては抜去歯を用いたin vitro実験系での評価が主として用いられてきたのに対して、これまでに実現されてこなかったin vivo実験系にて、生体を用いた口腔環境の再現に重点を置くことで、動物実験モデルにて細菌感染を引き起こし、う蝕病変の深さを厳密にコントロールした試験を行う、より実臨床に即した戦略性にある。これにより、実際の口腔環境にて、歯髄への影響を考慮したバイオミネラリゼーション材料の実現へと展開できる発展性を有している。 本年度では、その相乗効果を最もよく発現する条件を確定した上で、in vivo実験系へと移行する予定ではあったが、各種組み合わせにおいて、ミネラルとコラーゲンの両面から作用させる最適条件の決定に難航しているものの、in vivo実験系にて予定しているラットでの象牙質う蝕病変の形成とその評価法の確立を図ることができ、成果としてあげることができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの先行研究も踏まえて、各種バイオミネラリゼーション促進材料の条件設定を変化させて対応してきたが、現時点ではコラーゲンの強化と再石灰化の促進の双方に対する相乗効果を上手く確認することができていない。しかしながら、同時に進めているin vivo動物実験における象牙質う蝕病変の形成及びその分析手法に関しては、生体のモデルであるものの、一定の水準以上の方法を確立することができているという点で進歩が見られていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
元の計画では、コラーゲン強化材と再石灰化促進剤の組み合わせが相乗効果を生むと考えていたが、現時点で様々な条件設定で研究を進めるも、最適条件の設定に難航している。より良いバイオミネラリゼーションの条件があるものと考えられ、試薬の濃度の振り分け等を見直し、それを本年度で確立したラット象牙質う蝕病変にて試験したいと考えている。
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