研究課題/領域番号 |
23K16024
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中尾 雄紀 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (90906322)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 歯肉幹細胞 / バイオ 3Dプリンター |
研究開始時の研究の概要 |
先行研究で、歯肉幹細胞由来エクソソームが歯周炎の進行を抑制し、さらに歯肉幹細胞 にへの前刺激 ( TNF-α)でその抑制が増強する現象を初めて見出し報告した。本成果をさ らに発展させるため、ここでは以下の3点について検証を行う。 1 歯肉幹細胞由来エクソソームの骨芽細胞・破骨細胞への影響確認 2 歯肉幹細胞由来エクソソーム分泌機構の解明 3 TNF-α誘導性エクソソーム内包miR-1260bによる骨吸収抑制効果の検証
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研究実績の概要 |
歯肉幹細胞( Gingival Mesenchymal Stem Cells:GMSC)は、採取が容易であるという他の幹細胞と比べ、特異的なソースとしての特徴を持つ。更に細胞増殖が早く、テロメレース活性が高いため、治療用の細胞培養にも有利である。最近では、MSCのパラクライン機能のほとんどをMSCが分泌するエクソソームが担っている等、MSC細胞移植と同様の治療効果を有する事も報告され、幹細胞由来エクソソーム含有miRNAを介した遺伝子発現制御が重要であることが明らかになりつつある( Bruno S et al., J Am Soc Nephrol., 2009 )が、その制御機構や分子学的な解析は、依然不明である。MSC由来エクソソームのさらなる特徴や疾患治療標的miRNAついては、解明が急務である。 TNF-α刺激GMSC由来エクソソームによる歯槽骨吸収の中心活性を担うと考えるmiR-1260b単独での歯槽骨吸収抑制効果について、マウス歯周炎モデルで検証し、miR-1260b が ERストレス制御遺伝子であるATF6βを標的とすることやmiR-1260bが破骨細胞の分化を抑制する事を確認し論文にて報告した。今回、幹細胞そのものが持つ分化能、とりわけ石灰化能に着目し、石灰化能を有する歯肉幹細胞から骨様細胞構造体を作製することに成功した。方法は、デザインされた任意の形状に、細胞凝集塊を剣山上へと配置し,細胞足場を使用することなく「骨様細胞構造体」を作製できる「剣山メソッド」を用いたバイオ 3Dプリンターを用いて、論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞凝集塊を剣山上へと配置し,細胞足場を使用することなく「細胞構造体」を作製できる「剣山メソッド」を用いたバイオ 3Dプリンターを用いて、歯肉幹細胞から細胞構造体を作製することに成功し、論文発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究にて、MSCが疾病由来の刺激に応じて治療効果を促進するという報告(Lai RC et al., Stem cell Res., 2010 )をもとに、GMSCを炎症性サイトカインで刺激した際に、エクソソーム分泌量の亢進、およびGMSC由来エクソソームが有する抗炎症作用の増強効果を確認した。以上の背景を踏まえ、更にヒト歯根膜細胞だけでなく、骨芽細胞・破骨細胞への影響を検証する。 先行研究(Nakao et al., Acta Biomater., 122:2021)において、GMSCへのTNF-α刺激時にエクソソーム分泌量が約2倍亢進することを確認した。そこで、エクソソーム分泌機構関連因子であるendosomal sorting complex required for transport (ESCRT )複合体やエクソソームマーカー/分泌関連分子であるAlix、GTP変換酵素のRabファミリー遺伝子の発現を確認する。これらの遺伝子をノックダウンしてエクソソーム分泌量を測定することで、GMSCのエクソソーム分泌に重要な候補分子の確認を行う。同時に骨髄、脂肪由来MSCなどとその発現を比較することで、GMSCのエクソソーム分泌能を解析する。さらにTNF-α以外のサイトカインに発現促進効果がないかどうかを検証し、TNF-α刺激との相乗効果を確認する。上手くいかない場合、GMSCへのTNF-α刺激群(エクソソーム分泌促進)とエクソソーム分泌阻害剤 であるDimethyl amiloride(DMA)やSphingomyelinase 阻害剤(GW4869)を用いて、処理群間での発現遺伝子をマイクロアレイ解析で比較し、分泌制御分子の同定を試みる。
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