研究課題/領域番号 |
23K16028
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
石塚 久子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (20550148)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 牛乳由来オステオポンチン / 齲蝕原性細菌 / 脱灰抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
牛乳由来オステオポンチン(OPN)は、口腔内細菌の歯面付着阻害やバイオフィルム形成抑制に働く事が明らかにされ、齲蝕予防材料としての口腔内応用が注目されている。しかし、齲蝕の主な原因となる齲蝕原性細菌に対する効果は未だ不明であることから、それら細菌に対するOPNの効果を明らかにする。さらに、初期齲蝕の原因となる脱灰に対しても抑制効果があるか明らかにし、将来的に歯磨剤や洗口剤への応用を目指す。 また、生物学的安全性に関しては、すでにOPN配合乳幼児用粉ミルクが市販されており、安全性には問題ないと考える。
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研究実績の概要 |
牛乳由来オステオポンチン(OPN)は、口腔内細菌の歯面付着阻害やバイオフィルム形成抑制に働くことが明らかにされ、齲蝕予防材料としての口腔内応用が注目されている。 本研究では口腔内応用に向けて、未だ明らかになっていない、OPNの①Streptcoccus mutansを代表とする齲蝕原性細菌への効果、②歯面への局所処理によるエナメル質脱灰抑制効果、を明らかにすることを目的としている。 まず、①について検討した。OPNによる表面処理を行ったハイドロキシアパタイト表面へのS.mutansの付着能に関する実験を行った。S.mutansは2種類の株を用いた。試料は、37℃,30分、OPN溶液に浸漬し、表面のOPN処理を行った。その後、THB液体培地で培養したS.mutansをPBSに懸濁し、各試料37℃2時間作用させた。その後、PBSで洗浄し、試料表面に付着した細菌のDNAを抽出し、リアルタイムPCR法にてDNA量の分析を行い、評価した。試料表面に付着したS.mutansから抽出したDNA量は、OPN処理により減少がみられた。S.mutans両株ともで確認できた。つまり、試料表面にOPNの局所処理を行うことで、S.mutansの付着が減少したことを確認した。また、PBSで洗浄後、クリスタルバイオレット染色を行った。これにより、OPN処理によってS.mutansの付着抑制がおこることを、視覚的にも確認できた。 このことから、(ヒトの歯の主な構成成分である)ハイドロキシアパタイト表面にOPN処理を行うことで、S.mutansの初期付着を抑制することが明らかになった。 今後は、より口腔内に近い環境を想定し、ヒト唾液を用いた実験を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OPNの輸入供給が不安定であったため、当初予定していた実験方法や、実験の順番の変更等が必要になり、やや時間を要した。 しかし、OPNの購入先を国内での取り扱い業者に変更することで、OPNの安定した入手が可能となった。 また、実験では期待する結果が得られたため、おおむね順調に進展している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、口腔内環境に、より近い条件下で実験を行うことを目的とし、ヒトの唾液を用いる予定である。 ①ヒト唾液でコーティングしたハイドロキシアパタイトにOPNを局所応用し、S.mutansの付着が抑制されるか。 ②S.mutansにOPN処理をすることで、ハイドロキシアパタイトへの付着が抑制されるか。 まずは、上記2つの解明を目的に研究を進める予定である。 また、今後はグルコースを添加するかどうかについて、要検討事項としている。
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