研究課題/領域番号 |
23K16050
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
望月 真衣 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (90821934)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 歯髄幹細胞 / 自己多層化細胞シート / 薬剤関連顎骨壊死 / 間葉系幹細胞 / 無血清培養 / 再生医療 / 硬組織再生 / 抗炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、間葉系幹細胞特性を備えた自己多層化細胞シート(Self-CS)が、抗炎症性サイトカインを産生して薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)患部の周囲環境に作用して炎症反応を抑制し、豊富なⅠ型コラーゲン産生により骨再生を誘導する“抗炎症―骨再生デュアル機能” による新規医療法を考案した。 本研究は、in vitro/in vivoにおける実験的MRONJモデルを構築し、Self-CSの抗炎症作用と骨再生効果を明らかにして、新たな細胞シート医療の『有効性』の証明を目指す。
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研究実績の概要 |
間葉系幹細胞(MSC)は、多分化能や免疫抑制能を有することから、近年では骨再生に加えて抗炎症作用を期待する再生医療に注目が集まっている。申請者は、ヒト歯髄MSCの新規無血清培養法を確立し、高い骨分化能に加えて、ピンセットでも破れない強度と柔軟性を有する“自己多層化細胞シート(Self-CS)”を開発した(特許申請中)。 本研究は、Self-CSの優れた骨形成能にあわせて、MSCの高度な免疫抑制能に着目し、抗炎症―骨再生の二つの機能についてSelf-CSを解析し、未だ有効な治療法が存在しない薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)を疾患モデルとした新たな医療法の開発を目的とした。 In vivoによる実験的MRONJモデルは、骨吸収抑制剤 zoledronic acidの継続投与により作製したMRONJモデルラットに外科的侵襲をあたえ、MRONJを誘発した。作製されたMRONJモデルラットにSelf-CSを移植すると、MRONJモデルラットの上皮化促進、骨壊死の抑制、炎症性細胞の浸潤抑制を認め、さらに歯髄MSCの一部は移植部位に残存していた。このことから、シート状で移植された歯髄MSCは一定期間移植部位にとどまり、液性因子を分泌することでホスト細胞に抗炎症効果をもたらしている可能性が示唆された。 今後は、in vitroにおいてMRONJを模した炎症環境下によるSelf-CS由来の液性因子プロファイルを解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vivo解析を中心に、計画通りに実験を進めることができている。 現在までに、実験的MRONJモデルラットの作製に成功し、そのMRONJモデルラットを用いてヒト歯髄間葉系幹細胞由来の自己多層化細胞シート(Self-CS)を移植して、組織学的評価を行った。MRONJの発症予防を目的としたSelf-CSの移植によって、上皮化促進と骨壊死の抑制にくわえて抗炎症作用が認められた。さらに、MRONJ予防効果を認めた後も移植細胞が残存していたことから、移植細胞の液性因子がホストの細胞に影響を与えた可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、in vivoの結果から示唆されたヒト歯髄MSC由来の自己多層化細胞シート(Self-CS)の移植によるMRONJ予防効果を、in vitroで解析し評価を行う。 くわえて、MRONJ予防効果の出現後も移植されたSelf-CS由来の歯髄MSCが残存していたことから、長期予後を観察してSelf-CSの硬組織の新生に及ぼす影響を解析する。
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